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久々のロングツーリングは百里基地祭りへ「さよならF4ファントム」 [イベント]

自分が中学生の頃・・・既に40年前になりますが、夢中で見ていた漫画で、当時としては唯一とも言える、航空自衛隊百里基地を舞台とした、隊員の活躍を描いた「フアントム無頼」という漫画がありました。
自分の飛行機、特に戦闘機好きを決定的にしてくれた「バイブル」のような漫画で、この作画を担当した「新谷かおる」氏の代表作である、中東の傭兵の航空戦を描いた氏の代表作である「エリア88」とともに、自分の人生に大きく影響を与えた存在でした。

さて、この漫画の時代である昭和50年代前半は、日本は「東西冷戦」の真っ只中の時代で、その防空の中核を担う戦闘機が「ボーイング(当時は買収前のマクドネルダグラス)F4EJファントム」で、次期主力戦闘機として「F15イーグル」戦闘機が選定された頃でした。
じつはこの漫画の中でもその話が描かれていて、最前線の防空戦闘任務で、首都東京の防空を担う戦闘機としては「主役交代」が認識されていました。

しかし、その後の世界情勢の変化、後継機の選定の混迷や、アメリカの横槍などもあり、主力戦闘機の世代交代に失敗し、「戦闘爆撃機」として搭載電子機器を一新してなんとか余命をつないでいたF4でしたが、今度は主な驚異が北方のソビエト連邦から、中国に変化して、今までの「北方重視」から、いきなり南西地域が最前線となり、もはや旧式化したとは言え、主力のF15の機体と要員が沖縄の那覇基地に優先配備された都合で、なんと最も旧式で、原型初飛行から60年以上立つF4が代わりに茨城県百里基地に集められて、首都防衛の任に就いていました。

皮肉なことに、40年前に戦略爆撃機としてソビエトで使われていて、日本の防空識別圏を南から伊豆諸島沿いに東京に向かって進行する、通称「東京急行」の威嚇飛行で使われていたプロペラエンジン(ジェットタービンですが)の爆撃機「ツポレフTu95ベア」を改良して「哨戒機」として使われていた機体が、再び「東京急行」の威嚇飛行を行い、それを百里のF4が「スクランブル」で上がっていくという、まさし「ファントム無頼」で描かれていた劇中の日常が再現されたという「珍事」も発生したりしていました。

しかし、最新鋭の「ロッキードF35AライトニングⅡ」戦闘機が、まずマザースコードロン(運用を確立して、機種転換訓練でパイロットを育成する)として、青森県三沢基地に発足して、百里基地の302飛行隊も三沢でF35の部隊に「機種変換」されるので、そこで運用していた支援戦闘機の「三菱F2」戦闘機が来るということで、偵察型の「RF4E」とともに、今年度で「運用終了」ということになり、日本のファントムは姿を消すことになりました。

と、例によって無駄に長い前置きはともかく、12月1日に茨城県小美玉市の茨城空港、もとい航空自衛隊百里基地で開催される「2019年百里基地祭」が、事実上の「F4ファントムの一般公開でのラストフライト」ということで、これはいかなる事情があろうとも訪れることにしました。

まあこの百里基地祭は、首都圏に近い基地であることや、アラート任務・・・防空識別圏に接近してくる国籍不明機に対する「スクランブル」をかける「首都防空」をになっていることもあり、人気の基地祭であり、近年ものすごく混雑するのが通例になっており、「気楽に自動車で見に行く」訳にはいかないので、最近は近場に車を止めて、自転車で基地に入ることが恒例になっていました。

自分の場合往復で約170Km程度であれば、自転車での行動圏内であり、ただ往復するだけなら冬場の今でも問題はありませんが、航空祭は広い基地内を何Kmも一日中歩き回るので、今回は現地で一泊して泊まりがけのツーリングで行くことにしました。
えーと、たしか自転車のイベントは終わったとか言っていましたっけね(苦笑)

11月30日はある程度気温が上がった頃の9:45に自宅を出発しました。
この日は雲一つない快晴で、おまけに今年一番の寒さでしたので、バイクもウェア類もほぼ真冬装備で出かけます。
コースは何時もの筑波行きのコースで岩瀬駅まで行き、そこから筑波山の東側を横切り石岡市から小美玉市に東進するコースを設定してありますので、まず百里基地に行き、宿泊は石岡市街地に決めました。
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しかし本当にこの日は真冬の寒さで、山が綺麗に見えます。
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バイクは今シーズン初めての「パナチタン」で、真冬用のハンドルカバーや、ツーリング用のフレームバック、SPDペダルなどを装備します。
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基本的な整備は春先に保管する時に済ませてあるので、問題なく順調に走ります。
というか「パナチタンは、こんなに軽く走ったかな?」という印象で、おそらくお泊まりセット含めて装備品の合計重量でも、春先の体重まで行かない位ダイエットが進んだ恩恵のようです。

寒さはともかく、真冬のロングライドの秘訣は、とにかく「汗をかいて冷えない」ことが肝心で、ウエアの選択や、走るペースなどを調整して、「温まるけど汗をかかない」抑えた走りが重要になります。
大体MAX25km/h程度で、AV20km/h程度でのんびり走り、山登りはひたすら「インナーロー」で汗をかかず、足の消耗を抑えて現地に向かいます。
だいたい4時間30分ほどでまず、茨城空港側に到着です。
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この日は前日の予行演習で、本番と同じスケジュールで何かが飛んでいるはずで、基地に近づいた頃に、「ドドーン!」という、爆音・・・この音はF4ファントムのエンジン、J79IHI17のアフターバーナーの轟音が響いてきました。
さすがに今や唯一の「戦闘機用ターボジェット」エンジンの音は迫力があります。
地元住民にとってはひたすら迷惑でしょうが・・・・

さて今回はこの基地際の飛行する様子を取るために、新兵器を投入しました。
持ち運びができるコンデジで、超望遠でAFや手振れ機能の優れているパナソニックの「DC-FZ85」を購入して、今回このカメラの「慣熟」も目的の一つとなります。
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既に型遅れの旧式で、実売価格が3万円程度で、電池の持ちもよくUSBで本体に充電できるなど、一眼レフのように、かさばる交換レンズも不要で、これ一つもって一日撮影もできますし、この機種は動画で「4k撮影」もできるので、自転車でバックに入れて移動しながら撮影するのにはもってこいの機種です。

実のところこのカメラは購入してから一度も使ったことがなく、説明書すらろくに読んでいないという、あまりにアバウトなことをしていますが、昔からカメラを使っていた人で、最近もデジカメに接していれば、なんとなく無難に使える操作性があり、「あーでもない、こーでもない」と弄りながら機能を覚えて、実戦で撮影しながら覚えるのが自分のやり方になります。

いや久しぶりに「高機動する戦闘機」を撮影したので、コツを忘れていたこともあり、ろくなショットが撮れません。
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おおむね予行練習の飛行も終わったのでそろそろ終わりにしますか。
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しかし飛行機好きの人はこんなにいたのか?というほど、茨城空港隣接の公園にたくさんの人がいました。
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こんなバイクも来ています。
しかし、明日はかなり混みそうですね。
ファントムのラストフライトとのことで、外国からも見に来る人が多いことが予想され、近くのコンビニにも、おそらく成田空港で借りたレンタカーで来たと思われる、欧米人のグループなんかも見られました。

この日の宿は、約20㎞西にある「石岡市」のビジネスホテルを予約してありますが、明日の朝の予行もかねて、自転車のルートを確認します。
国道沿いに走れば簡単なのですが、当日ものすごく混雑するので危険だった事を考慮して、郊外のわき道をコースに選択して、ガーミンのMapに入れてあります。
以前石岡駅から折り畳み自転車で百里を目指したとき、道に迷って遅れてしまったと時の反省です。
まあそのあとも自転車で何回か周辺を走ってたので、なんとなくこの周辺の地理や地形の特徴が分かっていたので、順調に走れるようになりました。

ホテルには16時ごろ到着しました。
仕事の疲れとツーリングの疲れで、夕食を早めにとって、ホテルの大浴場で体をほぐして、コンビニで買ってきた「黒霧島」のお湯割りを飲んだらあっという間に気を失ってしまいました(笑)。
翌朝は6:30にホテルの朝食をとって、7:00に出発です。
大きい道だと危ないので、裏道をつなげて百里基地に向かいます。
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基地周辺は、事前に別の特設駐車場を用意(大洗海岸)などのアナウンスが効いていたのか、車の渋滞はなくスムーズに基地まで行けましたが、なぜか自転車は遠くのほうに駐輪場が離されていて、正面玄関までずいぶん歩かされました。
基地際は基本的にかなり歩くことを前提で臨んでいるとはいえ、若干気に入りません(笑)

正面ゲートから入場すると、「ゲートガード」と呼ばれる、過去に使われた機体が置いてあります。
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これはロッキードF104スターファイターですね。
最後の「有人戦闘機」と呼ばれた超音速戦闘機です。

これは「F85Dセイバードック」と呼ばれる珍しい機体です。
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朝鮮戦争の主役戦闘機「F86セイバー」を元に、火器管制レーダーとアフターバーナー装備のエンジンを装備した迎撃機(インターセプター)で、一応夜間でも悪天候でも迎撃ができる「全天候戦闘機」となっていますが、目視外射程のレーダー誘導ミサイルは装備せず、なんと70mmロケット弾「マイティマウス」を計算した方向に一斉に何十発もぶち込むという、凶悪な戦闘機でした。
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入場は、手荷物検査が結構手間がかかるので並んで待たされます。
この辺りは「米軍」は手慣れたもので、空港のゲートの様なX線の検査装置と金属探知機を駆使して手際よく観客をさばいていきます。
その間に「天候偵察飛行」で、F4ファントムが飛び立ちます。
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こいつの轟音を聞いていると、自然と口元が緩んでワクワクしてきます。

本日の天気は基本「曇り」の予報です。
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まあ撮影には向かない天候ですね。

でもそれなりに見るものはたくさんあります。
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最近の基地祭は昔に比べれば参加する機数や規模は縮小傾向にあるようで、昔は他の基地の機体や米軍なども飛来してきましたが、まあ本日はF4が主役ですので問題はありません。
いわいる「スペシャルマーキング」という特別のペイントを施したF4に多くの観客が群がってます。
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またここ百里は茨城空港でもあるので、民間機の理発着もあり、スターフライヤーの737がアプローチしてきました。
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本日はあくまでF4がメインです。
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救難飛行隊も頑張っています。
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ここで自分は基地外に出て帰路の準備に入ります。
滑走路の北端でF15の機動飛行を見ます。
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流石にパワーが違うので迫力が違いますが、これでも既に旧世代の機体になってしまいました。

ちなみに最新鋭のF35は、機動性能に関しては旧世代の機体に敵わないことが、巷では問題とされてるようです。
F35の場合、機体の運動性能云々を求めたものではなく、「ウェポンネットワークの中核」としての能力が旧来の機体では「絶対にマネの出来ない芸当」としての価値がある「玩具」です(笑)。
玩具と称したのは、「この手の能書き」が実戦で大活躍することが過去の「戦歴」では珍しいことで、大体の戦闘は「不意」に「想定外」で「思いがけない方法」で「古典的な確立された手段」が結局役に立つというのが「セオリー」だからです。
市販の電気製品のように買ったから直ぐに使えるという物ではなく、「戦力」にするためには搭載兵器との適合や戦術の確立なども含めて、長い時間と弛まぬ訓練が必要になるのです。

さてこの後は「ブルーインパルス」の飛行ですが、本日の天候と雲の高さから、高さを使った「縦系」演技はできないでしょうから、今回は見送ることにします。
そういえば空中で軌跡を描く「スモーク」ですが、本当に久しぶりに「カラー」が復活するそうで、おそらく松島基地の訓練では、「5輪の輪」を描く姿が近々見られそうですね。

さて11:00にここを出れば、どんなにのんびり走っても日没までには帰宅できるという計算です。
帰路は基本的に往路をなぞるように帰りますが、さすがに先日の疲れと、本日歩き回った影響で、体力も脚の消耗もかなりのものになっていました。
たまらず、ドラッグストアで、エアーサロンパスと栄養剤を買って応急処置を施します。
基本的に風はなく気温も上がってきたので走りやすいはずですが、反対にかいてはいけない汗をかいてしまい、体が冷えてしまいました。

途中でコンビニにより数度の補給と給水を行いますが、岩瀬からいつもの山を越えて「ましこ道の駅」についたときは完全にヘロヘロになっていました。
いつもいるお店で「大人のモンブラン」ジェラードをいただいて、栄養補給をします。
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濃厚な甘みと栗のコクがズシッと舌に響きますが、コヒーとの相性も良くこの甘さが助かりました。

何とか16時頃には自宅に戻れましたが、2日がけとはいえ久々の長距離でしたし、荷物を背負ってのほぼ真冬のライドは、結構身体に堪えました。
ログを見るとなんとなく分かります。
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やはり冬場は寒さに体を順応させるために、かなりのエネルギーを使うのと、ウェア類の重さと抵抗が響いて疲労感が強いのですが、この程度の寒さは慣れておかないと「北関東の冬ライド」を乗り越えられないので、今回はよい予行となりました。

あれれ?、百里基地祭の話だったはずですが、やっぱり自転車ネタになってしまいましたね(苦笑)

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コメント 6

ブラザー弟

お疲れさまでした。
なかなか距離が長いので一泊したとしてもしんどいですね。
F4ファントムのラストフライトですか。
感慨深いのもがありますね。見に行けて凄くうらやましいです。
怪獣映画などで自分の記憶ではF86は見た記憶があいまいで、F104とF4は見た記憶があります。それほど、メジャーな存在ですね。
確かF4の操縦特性は独特だと何かの記事で読んだ記憶があります。
戦闘機用ターボジェットエンジンかぁ。今は、ターボファンが主流ですものね。
F4は最近の戦闘機にはない武骨さが格好いい感じがします。
やはり世代的にファントム無頼ですよね。
by ブラザー弟 (2019-12-02 20:44) 

soraneko

ブラザー弟さんへ

いや、本当にシンドイツーリングでした。
体力や脚など回復に時間がかかりそうです。


昔、新田原基地が機種転換のマザースコードローンだったころ、そこの基地際の飛行展示で、凄腕の教官が操るF4の凄まじい機動飛行は印象的でした。
F4は「アドバンスドヨー」という、旋回の時にしっかりフットバーでローリングをかけておかないと、尾翼から外側に流れてひっくり返るという「悪癖」を持っていますが、今や珍しい「完全手動の電子デバイス無し」の操縦系統を駆使すれば、後席のナビとの連携で「4つの瞳と2つの頭脳が機体と融合して」、F15との格闘戦にも勝てるという、おそらく「男のロマンが詰まった最後の戦闘機」だったのかもしれないですね。
「ファントム無頼」の物語でも神田2尉が語っていましたが「敵に向かって一発の実弾も撃たずに退役出来た」事が、専守防衛の自衛隊の象徴として、誇らしい事だったと思います。

by soraneko (2019-12-03 01:15) 

やっとこ

どうもです。
かなりのロングライドを満喫されましたね。
新規投入されたカメラは画像も素晴らしく魅力的ですね。
私の場合は使用頻度が・・・
by やっとこ (2019-12-03 06:57) 

ばっきー

soranekoさん

自分も新谷かおる先生のエリア88とファントム無頼の洗礼を受けた口ですが、現実にF-4がこれだけ延命するなら今井のとっつぁんも現役の整備員続けられたのでは?、とか思ってしまいますね。

今回の基地祭、SNSで自転車乗りの知り合いが数名訪れているぐらいでしたので、自転車乗りは飛行機好きが多いのかも? 車で行くと混むところに自転車ってのはいいですよね。自分もレース観戦でサーキットには自転車でいきますけど、渋滞知らずで楽ちんですわ。

自分は基地祭は混むので、もっぱら家で飛行機のプラモを組み立てているクチです。F-4は特別カラーリングも含めて、物凄い沢山バリエーションがありますよね。何はともあれ、F-4にはゆっくりと翼を休めて欲しいと思いますね。
by ばっきー (2019-12-03 09:19) 

soraneko

やっとこさんへ

この季節としては結構距離が乗れたので良かったです。

カメラは「コンデジ」としては今までいろいろ買いましたが、初めてこの手の撮影で「使える」カメラに出会いましたね。
これが3万円程度で買えるとは、長生きはするものですね!
by soraneko (2019-12-03 20:14) 

soraneko

ばっきーさんへ

いやこの手のお話が通じるのはうれしい限りです。
このF4は整備も本当に手がかかる代物で、本当にとっつぁんみたいな腕利きの整備員の努力なくしては、実働しなかったそうです。
自衛隊の場合、再利用されないように「ぶつ切り」にされてスクラップ屋に引き渡すのだそうですが、状態が良いうえに需要がある(ギリシャ、トルコ、エジプト、イラン!)からと言って、マッコイ爺さんが裏で手を回して、気が付いたら中東の空に飛んでいた・・・・なんてならなければいいんですがね(笑)

仰られるように、自転車、自動車、飛行機、更に鉄道辺りは、どうも趣味が被る人が多いようですね。
by soraneko (2019-12-03 20:23) 

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