とうとう関東地方も梅雨に突入してしまいました。
こうなるとまったく乗り出す気にはなれません。


サイクリスタにとっては、まったくもって恨めしい季節ではあります。
今年の梅雨は異例に早く始まったそうで、何時もなら庭の「紫陽花」が、申し合わせたように咲き始めるのですが、今年はまだ蕾のままです。


こういうときは自転車の整備に限ります。
今月の連休明けから勤務が復活して、通勤に活躍していた「WAZOO」ですが、ペダルを踏むたびに「ギィーギィー」という異音がしていたので、整備がてら何とかすることにしました。

こういう場合はBBが怪しいので、予めBBは買っておきました。
ホローテックⅡ用のBBで、アルテグラグレードの物を1700円程度で購入できます。
どういうわけか以前の6600や、デュラの7800の物は、倍の価格がしていました。
7900も6700も半分近い値段になっていますが、どういうからくりなんでしょうかね?。

さてクランクを外します。
このときに左側のクランクのアーレンボルトとフィティングボルトを緩めますが、ものの見事に緩んでいました。
これは日頃ちゃんと見ておかないとダメですね。
外したついでにブレーキクリーナーを使って、油汚れを落とします。


ついでに、異音の原因として疑わしいと思っていた、アウターリングを止めるボルトを締めなおします。

これも「ガタガタ」ではないものの。結構緩んでいました。
以前FSAの48Tのアウターリングに交換してからちゃんと確認していませんでしたから、これも反省ですね。

ここでBBを外して交換となりますが、個人的な感想として、今回の異音は本当にBBから出ているのかが、疑わしいと感じていました。
BBのベアリングなどを確認して見ますが、ガタやゴリゴリ感も無く、試しに清掃してグリスアップするだけで再組して見る事にしました。


今回はクランクを組むにあたり、規定トルクできちんと締結しようと、去年のうちに買っておいた「トルクレンチ」を使うことにしました。

これはシートポストなど、主にトルク管理がデリケートなカーボンパーツの為に購入しておきました。

まず、クランクの「規定トルク」を確認します。

こうやってパーツに記載してあると助かりますね。
新品で購入すれば、シマノの商品は説明書に記載してありますし、HPでも確認できます。
緩みや、占めすぎの破損などを防ぐ為に、できればトルクレンチできちっとトルク管理をしておいた方が、トラブルの防止になりますし、バイクも長持ちします。

次にレンチの締め付けトルクをセットします。
柄を回すとトルクを調整できて、このメモリで確認します。


で、使うサイズの六角レンチをセットして、慎重に回し、「カチッ」という音とクリック感を感じれば、規定のトルクに達しているという仕組みです。

普段職場などではデジタル表示のトルクレンチを使っていますが、この自転車用トルクレンチの精度はどのくらいの物なのでしょうね?
個人的にはちゃんと締まっていて、締め過ぎなければいいだけなので、±1N/m程度の誤差はあまり気にしていないし、問題は無いような気もします。

さてこれで異音は解消できているはずで、試しにペダルを踏んで見ますが、残念ながらまだ異音が出てきます。
自動車もそうですが、自転車の異音の解消はとても厄介で、色々な要素が絡んでいる為、簡単に直らないケースが多く、「もぐら叩き」のように推定要因を潰していくしかありません。

あーあ、もしこれがBBだったらもう一度組み直さなければいけないのでガッカリです。
待てよ、本当にBBなのか?と慎重に異音に耳を傾けると、どうもBB付近が音源では無いようです。
確かに走行中だと騒音が大きいですし、聞き取りに集中してしまうと危ないですから、部位の認定は出来ませんでしたし、自転車の場合フレームのパイプとその空間で共鳴して在らぬ所からも聞こえてくるので、確実では有りませんが、後ろの方から響いてくるようにも聞こえます。

と、此処ではたとひらめきました。
もしかしたら、リアデイレイラーを取り付けてある「ディレイラーハンガー」が怪しい!。

WAZOOのディレイラーハンガーはとても変わっていて、かなり厚めのアルミで出来ていて、リアハブのシャフトの受けも兼用になっており、調整ボルトで、角度を変えて、ホイールベースを調整できるようになっています。

これは、このハンガーの部品を換える事で、MTB規格のエンド幅135mmのハブを入れたり、固定のハブで「ピスト」バイクに出来るようになっているそうです。

一見よく出来ているようにも見えますが、機械モノは、機構を複雑にするとトラブルが起き易くなる事は「常識」で、以前スプロケ側の調整ボルトが緩んで、取り付け角度が狂ってきて、タイヤがチェーンステーに当たるトラブルが出たこともあり、対策として、トルクが掛かる右側のボルトが緩まないように、「ダブルナット」で締め付けたことも有りました。


という事でハンガーの取り付けボルトを締め付けたら、案の定緩んでいて、異音が出なくなりました!。
たかが2本のボルトが緩んでいただけなのですが、原因解明の為に、エライ遠回りをしてしまいました。
まあ異音のトラブルの解明なんてこんな物で、TREK1400の異音のときも、大騒ぎした上に原因不明で、やけっぱちでボトルゲージのボルト基部をアロンアルファーで固めたら直った!なんてことも有りましたから、僕のような腕も経験も無いインチキ整備士の場合、「努力と根性」でしか、解決の方法が無いようです(苦笑)。

しかし、車もそうですが、ディーラーなど異音トラブルを持ち込まれるのが一番厄介で面倒だということで、自転車屋さんも同じ事を言っていましたが、その気持ちは良く判るような気がしました。