自動車業界にいてご飯を食べている立場上、あまり自分の業界の悪口などは書けないのですが、最近ちょっと思った事を書きます。

エコカーが注目されて久しいですが、EV「電気自動車」の普及のペースは進んでいるように見えません。
「航続距離が短い」とか「価格が高い」とか、「充電できる場所が少ない」とか巷で言われていて、確かに今までのガソリン自動車と同じように使う訳にはいかない・・・・・・と、ここで気が付いたのですが、何故ガソリン自動車のように使えないといけないのかな?と思うようになりました。
日産は別として、トヨタやホンダのEVに対する姿勢は、及び腰というか、しょうがないから付き合っているけど本当はやりたくないんだよなぁというような印象を受けるのですが、どうなのでしょうね?。

確かに、僕のように一日に600km以上の距離を走り抜けて、それこそ日本全国どこでも出かけていくような使い方を年に何度もするのなら、航続距離は、一回の燃料補給で最低でも500lkmは欲しいと思いますが、そんな使い方をしている日本人はいったいどれくらいいるのでしょうか?。

また色々なところに充電ステーションが無いと不便だと言いますが、たとえば主に通勤や買い物に自家用車を使っている人の場合、自分の住む町を出て給油する頻度は、いったいどれくらいあるというのでしょう?

衝突安全性や快適性などを取って、今の軽自動車以上に小型で軽量にできないと言われていますがそれは本当の事なんでしょうか?。

そのあたりの決定的な答えを僕自身持っているわけではないのですが、「本当にそうなのかなぁ?」と首をかしげるような「否定の理由」が、自動車産業界から漏れ聞こえてくるのですが、実のところ、EVが普及して欲しくないのは、当の自動車産業界なのではないのかと思ってしまいます。
歴史を振り返ると、船舶にしても鉄道にしても航空機にしても、動力源や推進方法の革新が有るたびに起きている、既存組織の「変化への抵抗」が、今の自動車産業に重なって見えると言ったら言い過ぎなのでしょうか。

自動車も、黎明期に蒸気機関や電気自動車との技術競争の結果、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンという内燃機関が主流になり今日を迎えているわけですが、そう考えると、自動車の歴史上初めての「動力源の主役交代」の夜明け前の時期なのかもしれません。

まあ「2次電池」と言われる「充電電池」の驚異的技術革新が無ければガソリンエンジンの代わりは無理と言いう「常識」が有りますが、その常識を信じたうえでも「棲み分け」として、EVや、スタンバイジェネレーターを搭載したHVはどんどん普及していく事は間違いなさそうですね。

僕自身、あの「東日本大震災」以降、燃料の供給に決定的な不安と疑念を抱いてしまってから、少なくとも最悪自前で何とかなる可能性のあるEVに対して、熱いまなざしを向けている状態なのは間違いないんですね。