何となく本格的な梅雨がようやく訪れたようですね。
こればかりは天の采配なので致し方ありませんが、自転車乗りにとっては憂鬱な季節であります。
そもそも雨が降って喜んで走り出す自転車乗りはそうそういないと思うんですが、これが練習や休日のツーリングなら「ヤーメタ!」とばかりインドア決め込むか予定を変えればいいだけなんですが、ホテルの予約などが絡む遠征先のイベントとなるとそうはいきません。

28日の日曜日に新潟県魚沼市で開催された「ロングライド魚沼2015」に出場して完走してきましたが、新潟地方は接近していた低気圧の影響で、終日強い雨と風が吹くという、イベントとしては最悪のコンディションの中行われました。
このイベントは「ロングライド」と銘打っていますが、116kmという距離だけで見ると「なーんだそれほどでもないな」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、獲得標高がほぼ2000mあるという、それだけ取ればグランフォンドにも匹敵する難易度を備えているコースになります。

これがルートラボのコースになります。

何時ものログはどうしたかというと・・・・・、ユピテルATLASが完全に水没してしまい、途中からお亡くなりになってしまったのでログが取れませんでした。
標高のグラフを細かく見ると、標高差はあまりないのですが、何度も結構な勾配の山を登らされているのがわかります。

さて、先日の27日土曜日に現地に着いて、まず行ったのがそこを縄張りにしている・・・おっと御守りいただいている神様にご挨拶をします。

湯の谷地区の大沢というところにある「天満宮神社」で、まあこのあたりの「村の鎮守」といったところです。

宿泊は「折立温泉」という、会場の大湯温泉にある「湯之谷交流センターユピオ」の手前にある温泉地の旅館に宿泊します。

「さかえや」さんという、失礼ながらなんの変哲もない小さな温泉ホテルですが、本当に若い人の期待する近代的なホスピタリティやアトラクションは何も有りませんが、客室に座って窓を開けていると聞こえてくる川の音だけがBGMというのも、都会人には最高の贅沢かもしれませんね。

夕食も質素ながら丁寧に作られた品々が熱燗の良いお相手になってくれました。
ちなみに作っていただいた板さんには申し訳ないような話ですが、一番おいしかったのは「白いご飯」で、翌日のイベントがなければ、御櫃を抱えて全部食べたいくらい美味しいお米でした。

温泉にのんびり浸かって、湯上りに途中で買っておいたお酒をちびりちびりやりながら天気予報を検索していましたが、どう贔屓目に見ても終日雨が降り、風も強めだという予報であり、「あちゃー!」となりましたが、悪天候も含めてこれもまた自転車イベントなんですよね。

4:00に起床して出撃準備です。
窓の外は昨日の予想通り大きめの雨粒が風にあおられて暴れまくっています。
今回はありがたいことに宿の方で自転車イベントの参加者には5:00に朝食を提供していただけるということで、いつもだとパンやカップラーメンの味気ないイベントの朝の食事が、温かいご飯と味噌汁がいただけるというのは最高の贅沢ではありますな。

朝食をさっさと済ませて5:20頃には会場の駐車場に行きます。
とにかくバイクを用意して、準備していたレインウェアやシューズカバー、等雨装備を装着して会場に向かいます。


空模様はこんな感じです

実際は山肌を雲が流れていて雨も強く「え!本当に走るの?」といった感じでした。

駐車場を埋め尽くす他の参加者も各々準備に余念がありません。

随分大勢来ているなと思ったら、今年は前前年の3倍近い380人のエントリーがあったそうですが。

6:10に開会式が始まります。

雨が降っているせいか。皆さん車から出なかったり木陰に雨宿りしていて、会場がさみしいことになっていました(笑)。

6:30にスタートでスタート地点に集合になりますが、番号をコールされても規定内参加者が目立ちます。
ざっと見て1/3くらいがこの天候に恐れをなしてDNSとなっているようです。

まあ、この大会の場合コースのロケーションの良さが最大のウリでもあるので、悪天候で山の上に出ると雲しか見えませんでした!なんてことになるのなら、無理して出ないというのも正常な判断だと思います。
とはいえ多くのライダーはそれでも「やる気まんまん!」で、まあ僕もこの程度の雨では走らない理由にはならないくらい「アホ」になりつつあるのが情けないです(笑)。

自分を含めて、色々な意味のアホ(失礼!)がスタートを待ちます。

とある参加者が「大体、自転車乗り(ロングライド)は、そもそもアホなんだし、同じアホなら走りゃにゃソンソン!」と、まるで「阿波踊り」のように語っていました(笑)。

いよいよスタートです


しばらくは国道352号を小出市街地に向かって下って行きますが、この時点では結構強い向かい風で、路面も濡れているのでペースが上がりません。
同じ集団の最後尾で離れて走っていましたが、あまり集団走行に慣れていない参加者が多いようで、ラインもまちまちですし、ハンドサインや掛け声もほとんどなく、何となく危険を感じたので途中で自分のペースにもどして、集団を置き去りにしました。
まあ、上り坂セッションになれば僕は「ひたすらデブはインナーローで我慢」は目に見えていますから、無理をしないで飛ばせる範囲で先を急ぎます。

市街地を抜けると関越自動車道の堀之内IC付近から最初の山登りセッションに入ります。
周りの参加者はヒルクライムよろしくどんどん先に進んでいきますが、僕は最初から足の温存もあり軽いギアでクルクル回してのんびりあがります。
面白いことに、本当に早い人は先に言ってしまいますが、ここのように9%近い坂が長く続くようなコースだと、息切れして途中で失速しているライダーは何人か追い抜くことができました。
要するに「ウサギとカメ」ですね。

ここも登りきると標高が高いので見晴らしが良いのですが、この天候では望むべくもありません。
先に進んで「上原高原」というところに出ますが、天気さえ良ければ北海道のような広大な景色が拝めますが、この有様です

レンズにも水滴が付いていて、正直撮影どころではありませんね。

そういえば今回はチェックポイントはエイドステーションとしても前々回に比べると、品数も多く充実していたよ言うに思います。

地元の多くのボランティアの方々が忙しく動き回っていますが、好きで走っているこちらは、どんな目に遭って自業自得でへっちゃらですが、この寒い中働いている皆さんには頭が下がります。

このあと、次の山登りセッションの標高580mの「星の家」を目指します。
途中気になる参加者がいました。
招待選手の女性(どうやら地元の有名なスキーの選手?)で、オシリの後ろにへばりつくように走っているおじさんで、「みっともないなぁ」と正直思っていましたが、他の参加者が「キープレフト」で極力左側を走って、抜いていく自動車の邪魔にならないように、水溜まりに入ったり、荒れた路面に苦労しているのに、そのおじさんだけは自動車の走行車線に陣取りへばりついて動こうとしません。
当然後続の自動車は抜けないので困っているのですが、そのライダーはそんなことはどうでもいいようです。
気づいていないだけかな?と、横に出て「失礼ながら後続車の邪魔で危険なので左に寄ったほうがよろしいですよ」と言いましたが、そのおじさんは怪訝そうに僕を睨んでそのまま走り去ってしまいました。
まあ色々な人間を半世紀も見ているので(苦笑)、この手のおじさんは珍しくありませんが、どこの参加者は知りませんが、事故があれば大会関係者に迷惑がかかりますし、苦情が来てもそれが来年以降の開催の足かせになることもあるので、そういう事も理解できる年齢であろうと思うのですが残念ですね。

さて星の家を目指す山登りですが、もともとのんびり走っていることもあり、そんなに苦しいという感じではありませんでした。
重量級の僕の場合、パワーに任せて踏み込んでペースを上げることは不可能ではないのですが、やはり昨年膝の痛みが再発してからは無理が効かなくなっていて、くるくる回すしかありません。

頂上に着いてチェックポイントなのですが、最高の眺望もこんな感じです。

というかここは「星の家」という天文台の施設で、この地域ならさぞ綺麗に星が見えるでしょうね。

坂登りというと上りがきついというイメージがると思いますが、僕は下りの方が嫌いで、しかも安全を考えれば知らない道で先が見えない「ウィンドゥコーナー」で減速無しに飛び込むのは自殺行為で、しかも雨でブレーキが効かないとあれば、ひたすら我慢の連続となります。


このあとあと結構きつい峠を二つ登って、国道252号に出て、「道の駅広瀬」がチェックポイントになります。
ちなみにCコースの人は星の家を登らないでここで折り返しになるそうです。
ここからはやはり星の家に登らないBコースの参加者と252号とJR只見線沿いに登って行きます。

このあたりは日本でも有数の豪雪地帯で、道にはトンネルではなく、雪を防ぐ大きなひさしのような囲いのある「スノーシェード」が続きます。
そのスノーシェードの入口で止まっている参加者がいたので声をかけたらパンクだとのことです。
普通イベントではパンクは自分で治せるのが当然なのですが、よくよく聞くと、その御仁はパンク修理に失敗して、Co2インフレーターがなくなり、予備のチューブも無いとのことでした。
なんと地元の方で、自宅がここから500m先にあるとのことですが、修理の失敗が精神的に堪えていて、リタイアするしかないということでしたので、僕の予備のチューブを提供して修理を手伝いました。

よくよく聞くと、タイヤを嵌めるのにレバーをガシガシ使ってたらしく、それでチューブに傷がついたようでした。
まあ、おせっかいとは思いましたが、なにせこちとら「パンク大魔王」の称号を持っているおじさんですから(苦笑)、出先での実践パンク修理の講義を開いてしまいました(笑)。
随分落ち込んでいたので、「まあ走ればいろいろありますから、頑張って完走しましょう!」と励まして僕は先を急ぎました。

大白川駅付近から山手の県道に入り、「破間川」沿いにさかのぼりますが、だんだん勾配がきつくなってきます。
標高的には487m登るのですが、前回は走ったときは、もうこの時点で脚とスタミナが終了状態になっていました。
今回はのんびり走っていることもあり、脚は持っていますが、どうやら最高気温が17度程度と、寒さまで感じるくらいでしたので、暑さでスタミナが消耗していないのも、デブの僕には幸いしているようです。

トンネルを抜けるとダムの上流で、「浅草橋」というところの広場がチェックポイントです。
Aコースの参加者はここでランチタイムで、おにぎりセットと温かい豚汁が振舞われます。
本当はゆっくりしたいところですが、山の上の駐車場のようなところは、横から雨交じりの冷たい風の吹きさらしで、止まっているとだんだん寒くなるだけなので、急いで引換します。

ここから小出市街地まで下り基調で、本来なら大幅にペースアップするところですが、南西の風が強く吹いて完全に追い風基調ですので、淡々とペースを保って、いくつかのグループを前に見ながら走ります。
魚沼市を流れる「魚野川」を遡る形で走りますが、川を見ると結構な濁流が見えます。

上流付近ではかなりの降雨があった証拠で、よくこんな天気のなか、ノンビリと自転車イベントなどを走っているなぁと、我ながら呆れるばかりです(苦笑)。

小出市街地に入り、国道352号線に左折すれば、ゴールは一直線です。
ここまで距離とか細かい時間の記載がないのは、先に書いたとおり、GPSのユピテルATLASが、画面内に水たまりができるほど完全に水没して昇天してしまったからです。
この個体は以前にもパッキンの変形で水没して、メーカーでクレーム修理をしたものですが、今回はパッキンの周辺に防水処理を施して置いたのにも関わらず再び水没してしまったので、やはり防水性能に疑いがあるとしか言えません。
もう一つ同じものがありますが、これは何度か雨天使用していても大丈夫なことから、個体差なのかなとも思いますが、過酷な状況で使うために用意したものが、その過酷な場面で使えないとなると、チョット考えなくてはいけないかもしれないですね。

最後のルートは10Kmもありませんが、前回は脚が完全にダメになっていたこともありかなり苦労した記憶がありましたが、今回は、多少攣りの症状が出てスパートをかけると「ヤバイかな」程度で、途中何度かペースダウンをしましたが、ユピオの建物が見えてからはラストスパートをかけて、無事完走いたしました。

6:38スタートで13:06到着ですから、所要時間は6時間28分でした。
一昨年の記録を見ると6時間11分で完走していますから、まあ走っている感じも「やや遅いかな」という感じでしたが、天候やレスキュータイム(笑)を勘定に入れれば、ほぼ同程度だったとも言えます。

まあ今回はこの天候で、綺麗な風景などを紹介出来ないのが残念ではありますが、当ブログで「魚沼」で検索して頂ければ、2013年に出場した時の、青空の場合こんな感じですという画像を見ることができます。
とにかく現地情報一切なしで訪れた前回に比べると、やはり「この先に何がある」というのが分かっているだけにペース配分が効いて精神的にゆとりがあった分だけ今回の方が気楽に楽しめたとも言えます。
僕のような「超重量級」のライダーにとって、お仕置き以外の何者でもない山岳コースの当イベントではありますが、不思議と「来年も来よう」と思ってしまうのは、ロケーションの良さと、地元の人達の暖かさが心地よいからなんだと思いました。