今、危機管理とか防災対応とかのむずかしさ、特に「如何に危機的な状況であるか」と解ってもらうかについての難しさを日々感じています。
今回の台風19号ですが、これが「想定通りなら」どれだけ甚大な被害が出てしまうのかは、気象の知識があり、過去の災害事例をちょっとでも調べれば、理解するのにそんなに時間も労力もかかりません。

で、その「危機的状況」を、「自分だけは災害に会わないという、根拠のない自信」を持って平穏に暮らしている、更に言えば「都合の悪いことには目をそらして平穏であると思い込みたい」人たちに、どのように展開していくのかが、非常に難しいことだということが、最近良く実感できるようになりました。

もし、そのような人たちが、本当に自分の身が危ないと解ってしまうと、理性に振る舞うことができず、恐怖に支配されて激情的行動・・・いわゆる「パニック」に陥ってしまうんです。
多分に昨日の気象庁の台風19号に関する記者会見は、そういう事を最大限に考慮に入れたうえで、極めて平静に、断定的な表現を避けて、あえて曖昧な内容に終始したという印象を受けました。
これは最大限好意的な見方をすればという事です(苦笑)
反対に否定的な見方をすれば、「もし予報が外れた時の責任を回避するために、核心に迫らなかった」という見方もできる事も一つの側面ではあります。

しかし、先に書きましたがある程度「解っている人達」、特にそれを伝えなければいけないマスコミの人たちは「だからどうなるかを明確に発表してほしい」という、困惑と焦りがマスコミからの質問から垣間見えるんですよ。
彼らは大げさに危機を煽るたんではなく、本当に危険であることをいち早く伝えて、迫りくる危険から逃げ延びてほしいと考えていたはずです。
これも思いっきり好意的な見方ではありますが(笑)

ただ、本当に多くの人たちの生命や財産を守るために、強い使命感があるのであれば、批判や責任を恐れず、たとえ「空振り」や「オオカミ少年」とののしられようと、「権威が有って信用があるしかるべき人物」が、「生命の危機が迫っていますので、厳重に警戒してください」という、警戒宣言を出すべきではないでしょうか。

それを「一介の公務員」である気象庁の予報間に丸投げするべきではないと自分は思います。
つまりもうこの期に至っては、政府が、総理大臣がしかるべき警戒宣言を出すべきです。
当然影響は大きく、かなりの経済的な損失も伴いますから、「ハズレ」となれば多大な批判を受けることは必至ですが、反面政府がそれだけの決意をもって「危機管理」を断行するという姿勢を示すことができれば、来年の「東京オリンピック」に多くの国々の方々が、安心して訪れることができるようになるのではないでしょうか?