昨日は予定通り茨城県小美玉市(小川町、美野里町、玉造町の合併)航空自衛隊百里基地の「百里基地祭」に行ってきました。

一応このブログは「自転車日記」ですので(笑)、自動車で行きましたが、渋滞を避けて離れたところに自動車を置いて自転車に乗り換える「パーク&サイクリング」で、基地に向かいました。

基地の南東およそ9km離れた鉾田市の総合運動公園に自動車を止めて此処から自転車です。

低い雲が立ち込めて、湿度が高く視界も悪いので今日は撮影には向きません。
今日は自分の目で見る見学に徹します。

さあ、基地に向かう為に、イベントの時の頼りになる相棒の、MTB「ミヤタリッジランナー」を車から出して、走行準備をします。

去年リサイクルショップに、打ち捨てられるようにおいてあったこのバイクを「3000円」で引き取って、再生させて使っていますが、高い品質を世界に誇る頃の、国産工業製品だけあって、基本的な整備と消耗品の交換で綺麗に蘇り、イベント毎に大活躍しています。

国内の自転車メーカーの皆さん!、舶来バイクに市場を席巻されているこの現状を打破すべく、「勇気」を持って、本当に高い品質のバイクを、求めやすい「適正価格」で我々に提供してください!

あっ、また脱線した(笑)。

準備が完了、基地に向かって走り出します。
茨城県の内陸部は、先週走行した「銚子センチュリーラン」の内陸部のコースと似ていて、ゆるいアップダウンが続きます。
基地までの距離は8.6kmで、思い起こせば「パーク&サイクリング」を思いついた6年ほど前なら、こんな距離を坂道を登ってまで走るとは夢にも思いませんでした(苦笑)。
というより、「絶対嫌!」だったんですが、今となってはもっと遠くからでもいいくらいで、機動力が格段に向上したのは、計画を立案するに当たって、格段の柔軟性をもたらしてくれました。

なにせ、「基地祭めぐり」は、結構過酷なイベントで(笑)。一日で高速道路を1000km走破して、基地への往復と、撮影ポイントの探索で自転車に50kmのり、基地内を10kmは歩かなければならない事も良くあることで、それをこの炎天下行うのですから、相当の体力を要求されます。

自転車乗りを復活させた動機のひとつが、イベントの為の機動性と体力を確保する為だったというのも、物好きにも程があると、我ながら呆れる事も有ります(笑)。

モノ好きついでで、今回は自宅から自転車で来るプランもあったのですが、距離云々ではなく天候の不安定という「懸念」で、今回は断念しました。
この天候の不安定については後ほど説明します。

と、能書き垂れている間に基地に到着しました。

入場者が、駐車場からゾロゾロ歩いてきます。
基地周辺にも無料、又は地元住民の「臨時有料」駐車場などがありますが、この辺りに駐車すると帰る時渋滞に巻き込まれ大変な事になります。
以前僕は基地方出るのに3時間くらい掛かった事があります。

自転車は基地のゲート横に駐輪場が確保してあります。

以前に比べると、2輪の数は格段に増えました。
やはり、渋滞にウンザリしてオートバイや自転車で来る人は確実に多くなったようです。
渋滞そのものは自分が嫌だという以前に、地元住民に多大な迷惑をかけるので何とかして避けたいところです。

「自衛隊基地なんぞ無用の存在で基本迷惑施設のくせして、何奇麗事をほざいて!」と、お叱りを受けるかもしれませんが、僕自身この渋滞で身動き取れず困惑している住民の方々の顔を見た時、自分の楽しみで、人様に迷惑をかけてはいけないと恥ずかしくなり、それ以来基地祭当日自動車で基地に近づくことだけはしないようにしています。

まあ「住民感情」といえば、百里に関しては若干の変化があったかも。
以前なら間違っても、住民が自分の敷地で「有料駐車場」などは開かなかったはずです。
ここは、色々とあって、いわいる「反戦地主」が基地周辺にたくさん居て、地図を見ると基地の敷地がでこぼこしているのは、反戦地主が頑として収用を拒否した土地が、滑走路の誘導路を「くの字」に曲げるほど食い込んでいる為で、基地祭に来る人の便宜を図る(利用して商売をする)などは考えられなかった事です。

この辺りの感情の変化は、地主の方々の高齢化と「世代交代」や、基地の滑走路を使用して、利用客が望めない事を判っていながら開港した「茨城空港」と、関係が有るような気がしています。

この空港にかんしては、マスコミも色々騒ぎ立てていましたが、その辺りの話は出てこないので、本当に知らないマヌケ野郎ドモなのか、恣意的に口を塞いでいるのかは、僕に知る余地はありません。

ああっ!また大脱線です!、暑くて頭の中のレールが相当歪んでいるようです(苦笑)。

基地内に進んでいくと、F4EJファントム戦闘機が置いてあります。

実は、百里基地は、僕にとってこのファントム戦闘機と共に、飛行機趣味の「心の故郷」のような物で、最近のマニアなどのように今風に言えば、漫画やアニメの舞台となった「聖地」そのものです。
これはいわいる「聖地巡礼」というやつなんでしょうね(笑)。

かつて「ファントム無頼」という、ここ百里基地の305飛行隊所属のパイロット達の活躍する漫画がありまして、中学生の頃その漫画に強烈に刺激されて、この漫画の作画を担当されていた、漫画家の「新谷かおる」氏の代表作で、中東のアスランという架空の国で繰り広げらた、空の傭兵の激闘を描いた「エリア88」と共に、僕の飛行機好きの原点ともいえる作品でした。
だから、、毎年の基地祭めぐりでも、此処は別格で、興奮と共に、何故かとても懐かしい感じがする基地ではあるのです。
戦闘機から始まった飛行機趣味ですが、今や「飛べばバッタでもOK」という有様で、エアライナーやヘリコプター、グライダー、マイクロライトなど、飛んでいるものを見つけると、血が騒いでしまいます。

このF4ファントム戦闘機ですが、「ベトナム戦争の悪者戦闘機」というイメージもありますが、かつてアメリカを筆頭とする自由権諸国の主力戦闘機で、5000機以上生産されたベストセラー戦闘機でした。
さすがに1950~60年代初頭の技術で作られた機体で、先進国家でマトモに「要撃戦闘機」として運営しているのは航空自衛隊ぐらいという「ビンテージ物」のような機体です。
何せ、外国からわざわざこの機体を見に来る「マニア」が居るくらいです。

何故そのような機体を使い続けていて、しかも、首都東京の防空を受け持つ百里基地で運用されているのかという点に関しては、理屈の合わない「大人の事情」があり、スッキリしない点もあります。
が、古めかしいとはいえ、マッハ2.4を誇る超音速戦闘機で、今ではほとんどない「ターボボジェット」エンジンの空を切り裂くような轟音は迫力があります。
この機体、機体の空力安定性に独特の癖があり、操縦系統に「コンピューター」のアシスト制御が入っていないので、迫力のある機動飛行を鮮やかにこなすのには、パイロットの「腕」が必要となります。
マニアとしてはそれも見所の一つです。

基地の敷地を進み、格納庫の付近に来ると、「出店」がたくさん並んでいます。
お祭りでは定番の「焼きそば」や「カキ氷」は当然として、基地祭特有の「ミリタリィーグッズ」などの店も軒を連ねています。
しかしその中に見慣れぬのぼりが。

コレは、茨城の平和と安全を守る戦士「イバライガー」だそうです。
最近流行の「ご当地ヒーロー」ですね。
まあ、この手は嫌いじゃないんですが(笑)。

更に最近辟易するのがコレです

いわいる「萌えキャラ」で、此処最近ミリタリィ分野にも侵食しています。
自動車にこの手の恥ずかしい絵を書いて喜ぶ「痛車(いたしゃ)」が巷で流行っているそうですが、プラモデルでは戦闘機版の「痛戦闘機」もあるのだとか。

これはさすがに僕も「?」で。理解できない以前の問題として、「不謹慎」という単語も出てしまいます。
飛行機では、能天気なアメリカ人が、戦場に出て自分の機体の機種に好みのイラストを入れる「ノーズアート」という物もありますが、これは過酷な「戦場」に駆り出された人間の極限状態の「戦場心理」から生まれた類のもので(趣味が良いかどうかは別問題として)、人様に作られた安全地帯でのうのうと暮らす輩が、不浄な欲望のはけ口にして手慰みにして、しかもそれを「金儲け」にするのには、「軍隊」や「兵器」というものは、あまりに生生し過ぎるシロモノだと思うんですがねぇ・・・・。

さて滑走路側に移動すると、この基地の機体と共に、「ゲスト」として、他の基地や陸海上自衛隊、アメリカ空銀の機体も来ています。
今回はアメリカ海軍や海兵隊の機体は来ていなかったようです。


会場もいよいよにぎわってきました。


会場中心には、基地祭の花形「ブルーインパルス」のT4練習機が勢ぞろいしています。
此処は一番混むところで、人が集まってごった返しています。


いよいよ飛行展示ですが、今回撮影はしません。
他の画像を見ていただいてお分かりかと思いますが、雲が出ていて視界が悪く、こういう空模様の時は撮影には向きません。
無論、「味のある」写真を撮るのなら、それは「感性」と「腕」の問題で如何様にもなるのですが(偉そうに!)、今回は見学を楽しむことにしました。
此処からは雰囲気をお伝えする為、去年の「松島基地祭」の画像を使います。

今年の百里基地祭は、どうも例年以上に気合が入っているようで、各飛行隊の飛びっぷりは結構気合が入っています。
低い雲が出ていて、高度を上げられないのが幸いして、かなり低空で観客の頭の上をパスするので迫力があります。
そんな状況で、各パイロットはかなり派手な機動を見せてくれます。
今年は職場の後輩に「騙されたと思って見に行ってみたら?」と誘っていて、現地で待ち合わせて一緒に見ていましたが、この大迫力には度肝を抜かれたようです。

天候の状態(雷雨が心配で)、飛行に関する気象関係のデーターを提供している「気象班」の展示ブースに天候の具合を聞きに行きましたが、いつもは秋が恒例の基地祭を夏のこの時期に開催したのは、例年台風などの気象条件が良くないので、わざわざ変更したのだと担当の士官が教えてくれました。
そのくらい「気合」が入っているということで、ファンには嬉しい事です。

しかしこの天候が、どうも芳しくありません。
ここ数日、北関東には強い寒気が上空に流れ込んできていて、宇都宮市周辺でも連日凄まじい落雷があり、各所で停電が頻発していました。
場合によっては茨城県の南部までこの寒気は下りてくるかもと想定して、今回は自転車で自宅から来る事を断念していたのですが、どうもその懸念が当たってしまいました。
地上はうだるような暑さですが、上昇して反転している機体の姿勢の乱れなどを見ると、上空では気流が不安定になっているようです。

さて お昼を過ぎてブルーインパルスが始まりますが、どうも様子が変です。

隣に展示してある救難飛行隊の捜索機である、ビジネスジェット機、BAe125をベースとしたU125と、ヘリコプターのUH60Jに、電源車が接続されて、エンジンが始動し始めました。

コレはもしかして!、と思ったら、事故があり、茨城県の知事より「救難活動要請」があり、本当の任務で「スクランブル発進」する事になったようです。
不謹慎ですが、コレは演技ではない本当の「実戦」を目の前で見る事になりました。
長い基地祭めぐりでも、話には聞いたことはありますが、滅多に見ることの出来ない光景です。

ブルーはパイロットが乗り組み、所定の点検を終えていよいよエンジンスタートです。
6機のT4が12機のエンジンを一斉に始動するこの瞬間は興奮が一気に高まります。
と、あれれ音が変だぞ?。
6号機がエンジンを止めてしまっているようです。
どうやらエンジンにトラブルが有ったようで、パイロットは直ぐに隣に駐機してある予備の期待に乗り込んで準備をしています。

どうも最近ブルーは機体のトラブルで飛べなくなることが少なく無い様で、激しいアクロバットに使われる機体も損耗が激しいのかもしれません。
本当なら後継機は「F2」戦闘機に一時決っていたのですが、予算削減と、F2自体の生産中止のあおりを受けて、T4が使い続けられているという現実があります。

いよいよ滑走を開始、離陸位置に移動して飛び上がるのを待ちます。
通常1~4号機まで「ダイヤモンド」編隊で一気に上がりますが、イキナリ5号機が先に上がりました。

しかも、エアボーン(浮き上がる)してからなかなか上昇しません。
おそらく、速度を一杯上げておいて、エネルギーの高い状態での上昇を試みているようです。
パワーがあまり高くないT4の場合、低空で姿勢が乱れると、エンジン出力だけで回復させる事が出来ないからです。
どうやら、この一機が「天候調査飛行」といって、目に見えない上空の気流の具合を見る為に飛んだようです。

これは相当上空の気流の具合が悪いようで、結局全機離陸しましたが、通常行うアクロバット飛行はせず、飛行場上空を通過するだけの「経過飛行」を行って終了となりました。

見ている方ががっかりですが、いくら危険な「アクロバット」を売り物にしているとはいえ、必要以上の危険を冒す事は戒められており、「生きて無事に全員帰還する」のも彼らの大切な任務なので、僕は全機無事に戻ってきてくれてホッとしました。

この上空の気流の乱れですが、地上に居ては気が付きませんが相当なもので、夕方からこの地域はこの気流の影響での記録的な豪雨に見舞われていました。


かれらの冷静な判断は大正解だった事が、いみじくも証明されたわけで、「勇気ある撤退」という、プロフェッショナルの見事な仕事を見せてくれたチームを賞賛したいと思います。


さてブルーインパルスが終わると基地祭のプロプラムは終了で、観客は一斉に帰りはじめますが、どうせ渋滞で直ぐには出られません。
此処はノンビリと、ゲスト機が帰るために飛び立つのを見て、出店の売れ残り品を値切って買い物をしながらノンビリ帰ると言うのが正解です。

僕自身は「自転車」なので渋滞には無縁だし、雨が降られるのも嫌なので、今回は直ぐに帰ることにしました。

イヤー、久々の基地祭でしたが、やはりこの雰囲気はたまりません!。
もう何十回以上、この雰囲気を味わっていますが、何度来ても飽きるという事がありませんん。
色々と見たり考えたりすれば「現実」が頭をよぎりますが、此処は普段味わえない「非日常」を堪能するにはもってこいのイベントだと思います。

まあ、このイベントを開くに当たって、結構大層な額の予算が使われていることも事実ですが、我々が普段払っている税金の一部が使われているわけで、「タックスペイヤー」として、その使い道をしっかり検証して、ほんの僅かではありますが、「還元」して頂く意味でも、基地祭を見る価値は十分あると思います。