5月を思わせるこの暖かさなら、走り出さない手はありません。
これだけ暖かければ流石に山の雪も解けているだろうと、今年に入ってから初めての「古峰ヶ原山岳トレーニング」に出かけることにしました。

とその前に、現時点で僕のメインバイクである(苦笑)マドンAに新装備です。
じつのところ、自転車を走っていて音楽を聴くのが好き「だった」のですが、イヤホン禁止のため、泣く泣くあきらめていました。
まあ、自転車の場合周囲の音が聞こえないことはかなり危険なことで仕方が無いのですが、何とかならないかなぁと常々考えておりました。

昔は小型の「トランジスタラジオ」を前籠に括り付けて、深夜放送を聞きながらナイトライドをしたこともありましたし、今でも「オジサン」達が良くやっていますよね。
でも、ツーリングをしていてロードバイクにラジオを付けて走っているライダーが少なからず存在していて、「クマよけ鈴」の代わりに使っているという話もアリ、何とか自転車にラジオを付けられないかなと考えたのがこれです。

ミノウラノ「スマートフォンホルダ」にソニーのカードラジオが丁度収まるので使ってみました。
まあ、明瞭に音声が聞こえるというレベルではないのですが、なんとなく何か話し声や音楽が流れていれば十分で、僕の場合イザというときの警報を聞くという目的もあります。
先の震災の教訓ですが、大規模広域災害が起きたときは、特に山の中にいると恐らくAMラジオが一番頼りになると僕は考えています。

さて久しぶりの古峰ヶ原ですが、傾斜の緩い大鳥居までのコースは比較的快調にペースを維持することが出来ました。
しかし、今日は温かいだけに花粉で山が霞んでいます。

大鳥居の前の酒屋さんで休憩していましたが、そこのご主人のお話では、山から煙が出ているくらい花粉が噴き出して、火事と間違えた人もいるくらいだそうです。

まったく山が杉だらけですが、やはりご主人のお話で、切り出しても人件費をかけるとまったく儲からない状態になっていて、放置されているそうなんですが、手を駆ける人もいなくなってきて、このままでは山が荒れてきて取り返しがつかない状態になると憂慮されていました。

さあここから勾配がきつくなるのですが、先ほどの大鳥居までで結構頑張ったせいもアリ思うように登れません。
先行している別のライダーがいたのですが、勾配がきつくなるとグングン引き離されていってしまいます。
最初は心拍が上がって苦しくなり、しばらくすると慣れてきて心拍は落ち着くのですが脚が重くて思うように回ってくれづ、しまいには「泣きの30T」まで使ってしまいました。
これは完全に、此処に走りに来た当初の状態に戻ってしまったようで、まあ一からやり直し!という事のようですねぇ(泣)。
この辺りは予想していた事なので、後は淡々と登って「古峰神社」でお参りを済ませて折り返しました。

肝心の路面の状態ですが、凍結箇所は完全になくなり、日陰の崖の下に雪が残っている程度でした。


まあ、濡れている路面の部分は危ないのでゆっくり下がっている途中、何時も気になっているお蕎麦の店に寄ることにしました。

道端にのぼりが有り川の対岸にあるお店なのですが、正直チョット一見さんは入り辛い感じです。

お店を除くと高齢の御主人が迎えてくれました。
昔からある民家を改造した感じのお店で、なんだか懐かしい感じです。
早速お茶とともに漬物がサービスで出てきます。

押しの効いた懐かしい味のたくあんという感じのお漬物で、ああっお茶付けが食べたい!。

天ぷらもりそばを頼みましたが、コシのある風味の良い蕎麦で、天ぷらも野菜だけですが、甘味が有って良く揚がっていて美味しかったです。
これなら1000円は高くないと思いました。

と、横に立札が見えて「評判のちたけ蕎麦は、セシウムの影響で提供できません」とありました。
北関東のこの山奥でも、今でも原発事故の影響は影を落としていますね。

この後お決まりの小来川方面に再び上って、あとは例幣使街道の文挟まで下るだけですが、途中に「Cafe」の看板を見つけました


どうやら登山道の入り口になっていて、見上げると山小屋風の建物に明かりがともっていました。


本当は天候が変わる前に早く帰りたかったですが、いい歳して子供のような好奇心にあふれるオヤジですから、躊躇なく激坂をダンシングで上りきり、寄り道することにしました。

結構高い位置まで上がるとシャレた感じのまさに見たたまの屋号の「山小屋Cafe」というお店です。

失礼ながらこのような山奥だと、蕎麦や山菜などは有るのですが、美味しいコーヒーで休憩が出来るお店に出会う事はほとんどないので、期待が膨らみます。

人のよさそうな、僕よりはまだかなり若いマスターが一人でやってるお店で、これまた失礼ながら繁盛している気配は感じられませんでしたが、ご主人のお人柄や、ミルで挽きたてのおいしいコーヒー、山の上の見晴らしの良さなどの相乗効果なのか、本当に落ち着いてコーヒーを楽しむことが出来ました。

なんでも、お亡くなりになったご主人の祖父の所有していた敷地や建物を管理するという事で一昨年からこの地で始められたそうです。

栃木百名選の「笹目倉山」の登山道の入り口にある場所です。
まあ、「高尾山」のような有名な山ではないので、御主人曰く「御高齢の登山者ばかりで、間違っても今はやりの山ガールなんて来ませんね」とおっしゃっていました。
整備された登山道ではなく、まさに「分け入る」感じの本当の野山で、初心者にはちとキツイかもしれないとの事ですが、意外に登りがいがある山かもしれません。
結局1時間ばかり他のお客さんがいないのを良いことにご主人と色々お話して(僕が一方的に話していたとも)一時間ほど休憩していましたが、のんびりすることが出来ました。

いや、久しぶりの古峰ヶ原はやはり大変でしたが、脚のどこか特定の部位が痛くなることもなく、まんべんなく全体の筋肉を使って心地よい疲労感が有りますね。

さて、この古峰ヶ原ですが、サイクリスタにとって、トレーニングコースや、観光目的のツーリングで利用者が増えてきています(自分がそうですが)が、地元に住んでいて生活を営む人たちと今回触れ合って色々なお話を聞くことができて考えたことが有ります。
皆さん一様に自転車が増えてきたことに驚いていて、遠巻きにサイクリスタを眺めているという感じでしたが、やはりこのような方々に理解していただいて、末永くこの素晴らしいロケーションを楽しめるように、特にマナーや交通ルールなどに気を付けて、走らなければいけないのではないでしょうか?
かつての「RVブーム」「アウトドアブーム」「峠ブーム」などは、自分たちの楽しみのため地元の人たちに多大な迷惑をかけてしまったので、怒りを買った結果として追い出されてしまったという「苦い歴史」があったのですが、自転車はその轍を踏まないように、皆で気を付けて行きたいですね。