昨日、長野県の志賀高原で行われた「志賀高原ロングライド」というイベントに出場、完走してきました。
ロングライドイベントとしてはこのイベントが今年最後のイベントになりますが、よりによってそのイベントが僕の最も嫌いなタイプのイベントであるというのは皮肉なものです。

これが今回のコースです。

ルートラボのデータでは全長115km、獲得標高2200mある山岳イベントです。
多くの読者のみなさんはご存知かと思いますが、僕は上り坂が大嫌いです(笑)。
嫌いとは言え、苦手であるとは言え、上り坂のあるコースを走ることは最高のトレーニングであることには違いないんですよね。
一応先月の「出雲ロングライド」以降、山岳練習を積んできたことと、ある程度ウェイトも下がっている現在、どの程度のパフォーマンスが戻っているのか?というのを知りたかったこともあります。

とはいえこれは実際走ったコースの高低差グラフです。

最大高低差はゆうに1000mはありますし、大体スタート&ゴールの会場が一番高いところにあるというのが悩ましいコース設定です。
これは何も考えなしで出場すると痛い目にあうぞと、色々と検討することにします。

現在の自分の状態は、ウェイトや走り込みの頻度から、一昨年の「龍勢ヒルクライム」の状態に近いと考え、コースのレイアウトから往路の野沢温泉からの「ヒルクライム」区間が山場とふんで、前半戦出来るだけ足の消耗を抑えつつペースを稼いで、少なくとも最大難所を超えていても、最後の上り坂を登りきるだけの脚を残す作戦で挑みました。

さて前日に長野県山ノ内町の志賀高原にある会場で前日受付を済ませます。
時間があったので翌日の準備も全て済ませ、さて温泉でも入ってのんびりしようとして事件が起こりました。
夕食の時間になったので貴重品を持って食堂に行こうとしたのですが、財布を持ち上げた時に手に違和感がありました。
宿泊代や食費、お小遣いなど普段より多めに現金を入れてるはずの財布の重量が妙に軽いのです!。
中身を見てびっくり!、なんと見事に「お札」だけ抜き取られているではありませんか!。
どうやらお風呂に入っている間に、脱衣所の籠から鍵を持ち出し部屋に侵入し、現金だけ抜き取っていたようでした。

まあ、普通ならもう自転車イベントどころの話ではなく、怒り出すやら落ち込むやら嘆くやらで大騒ぎになるところですが、せっかく明日お楽しみがあるのですから、ここは「沈着冷静に対処しよう」と心を整理して、とりあえずホテルに相談した結果、一応警察に被害届けを出すことにしました。
まあ犯人が捕まることはないでしょうし、現金が戻ることも絶対ないでしょうが、「泣き寝入り」はできませんし、今後のためにも犯罪記録を残そうと被害届けを出しました。

ホテルには地元の駐在所のお巡りさんと、中野市警察署のおまわりさんが来て、事情聴取と現場の鑑識を行いました。
こんな状況でおかしな話なのですが、僕自身初めての体験だったので、「おお!、これが警察の鑑識の仕事か」と興味深く見てしまい、そして何やらこんな状態にある自分の境遇が物凄く可笑しくなって来てしまい、正直笑いをこらえるのが大変でした。
警察の方も仕事とは言え大変でしたし、ホテル側も恐縮してしまい、ある意味僕の不注意でご迷惑をかけてしまったようで申し訳なくはありました。
しかし!憎むべきは犯人と犯罪であり、「不徳と犯罪は長い人生の果てで必ず精算される」という事を、犯人に教えてあげたいですね。

おかげで豪華な夕食も食べる気が起きず、ほとんど残してしまい散々な目にあってしまいましたが、変なちゃちが入った割に自分自身不思議と冷静で、ぐっすり寝て翌日を迎えました。
基本的に僕は図太いのかもしれませんね(苦笑)。
翌日は3:30に起床し、早めに朝食を取ってから準備をしました。

5:00にホテルの用意してくれたお弁当をもらってチェックアウトし、会場の駐車場でバイクを出してスタート時間を待ちます。
まだ夜明けには早い時間でしたから、高原は満天の星空で、所々に流れ星も見えます。
ようやく明るくなってきました。


5:45にミーティング開始なのでスタートラインに並びます。

そういえば駐車場や参加者の様子から、あまり参加者は多くないのかな?と思いましたが、スタッフに聞いたところ300人の応募があったそうです。
第一回目の開催ということで、知名度が少なかったこともあったでしょうが、もう少し参加者が多いかなと思っていたので意外でした。
規模的には茨木の「ツールド桜川」の半分程度というところでしょうか。

別に参加者が多ければいいというわけではないでしょうが、エントリー期間が延長されていたことから、参加者の数が伸び悩んだのではないかと推察されます。
実は最近サイクルイベントが増えたのはいいのですが、日程が重なる「共食い」が目立つようになってきたのが気にかかっていました。
当日の26日は大きなサイクルイベントが多く、また秋祭りや秋のイベントが多く行われる日でしたから、「わざわざ」スケジュールを開けて来るだけの特徴がないと、なかなか難しいところがあるように思います。

さて6:00になり僕は第一ウェーブ、つまり先頭集団でスタートです。
別に競うわけではありませんが、前半戦は基本下りが多いので、ペースを稼げるだけ稼いでおいて、後半戦のマージンを得ようとしました。
走り出すととにかく寒い!、自家用車の外気温計は5℃を切っていて、宇都宮で言えば真冬の一番寒い日の最高気温くらいの寒さです。
ロンググローブは当然で、インナーも冬用の厚手のものに裏起毛のあるロングジャージで、それでも寒くて結局コースの大半はウィンドブレーカーを着ていました。
紅葉の秋のツーリングというより、晩秋いやほとんど初冬の山岳練習会のようです。

集団は早々にばらけて、早い人はどんどん前に進んでいきます。
僕はとにかく体力と、特に足の消耗の温存を優先に、のんびり付いていきます。
さてここでコースについてですが、コースの大半は「奥志賀スーパー林道」を走ります。
実はコースの地図を見てこの単語を見て戦慄が走りました(笑)。
今から20年以上前に4WDのオフロードツーリングが好きだった頃、当時買った「RVの走れる林道」とかに掲載されていた難易度の高い有名な林道の一つに「奥志賀スーパー林道」があったからです。
当時は当然のように「未舗装」であり、沿線に民家などない秘境の林道というイメージがありました。

これまた当たり前ですが「コンビニ」などというものは存在せず(苦笑)、商店や自販機はおろか、民家すらないのですから、補給はエイドステーションと「自前」に頼るしかありません。
今回は補給食やメイタンのクエン酸パウダー、万が一の時のファーストエイドなどを、ウエストバックでは邪魔で重量もかさむので、小型のサドルバックに詰め込みました。

とりあえず第一ASの「カヤの平キャンプ場」に到着です。
まだ先行していた参加者も全ていて、とりあえずは第一ウェーブにいるようです。


ここではバナナと地元特産の「りんご」が振舞われます。

このりんごは糖分とクエン酸が摂取できるのでありがたいですね。
できれば疲れて固形物が口に入りづらくなる後半に出していただけると嬉しかったです。

ここからしばらくは標高1500m付近の山の上のルートをひた走ります。
流石にこの高度だと紅葉は終わっていてほとんど葉が落ちてしまっていています。
コースは葉の落ちた林が並ぶ崖道のを進みますが、このあたりの雰囲気は「龍勢ヒルクライム」の頂上付近のルートが延々と続くような感じです。


この何度か出てくる「龍勢ヒルクライム」ですが、楽しみにしていたこの大会も今年は「中止」になってしまいました。
公式に主催者からのコメントは「地元との調整ができず云々」と歯切れの悪い話しか出てきていませんが、これは推論でしかありませんが、地元の理解「役場、警察、住民」の理解を得られない「何か」があったことは確実でしょう。
これも噂のレベルの話ですが、競技に目の暗んだ愚か者が、練習と称してコース・・・・・いや地元の人達の生活道路なんですが、これを暴走した挙句、地元の人とトラブルを起こしたという話はいろいろなところから聞こえてきました。
おそらく二度とこの大会はこの場所では行われることはないでしょう。悲しいことです。

このブログでも何度も書いていますが、公道で人に迷惑をかけたり、道交法を違反した走行を繰り返していたのでは、自分たちの言い分はともかく、周囲からは無法者の「暴走族」と扱われるのは当然なんです!
昔のように本当に極少数の競技関係者が山間部で練習していた頃とは違い、世間の自転車に関する認知度も上がり、ましてマスコミに登場する機会も増え、漫画やアニメの影響もあり、まだ精神的に未成熟な若者が「競技レベル」のイメージで、公道に多く乗り出している現実を踏まえると、この道のベテランのサイクリスタや、競技関係者ほど、自分たちの襟を正して見本となり、ことあるたびにマナー向上を世間にアピールしていかなければいけないのではないでしょうか?

実は、今回走った「林道」に関しても、かつてRVがブームになった頃、日本中の林道にRVが溢れかえり、林道を荒らしまくって地元の産業や生活の邪魔した結果、日本中の林道が「ゲート閉鎖」という結果になってしまいました。
モータースポーツに関しても、結局「峠族」達が暴走行為を繰り返し、多くの峠道から締め出されてしまったことも問題の根本は同じなんです。

自転車もこの件に関しては、過去の過ちの「轍」は絶対に踏んで欲しくないというのが僕の「祈り」なんですが、実は昔から「やらかしている」奴らは、実は同じようなレベルの、同じように迷惑な、同じ連中であったりするのでは?と僕らの仲間内では囁かれております。

ああっ今回は脱線がひどいですね(苦笑)。
きっと盗難に遭った憂さをここで晴らしているのでしょう。

進路修正!本題に戻ります。
えーと、何処まででしたっけ、そうそう第二ASの辺りですでね。
第二ASの「ヤナギランガーデン」は、43km付近で、野沢温泉スキー場の頂上付近です。
ここから一気に800mほど野沢温泉村に降りていきます。


ここではお饅頭と野沢菜が振舞われます。

ここでひとつ提案ですが、準備が大変なことを承知でお願いしたいのは、「温かいお茶」の類を用意してくれないかなぁという事です。
ロングライドの場合、水分補給で冷たいスポーツドリンク類をしこたま飲んでいてだんだん飽きてくるのと、お腹が冷えてくると調子が悪くなることがあるんですね。
今回は寒かったこととも合わせて、温かい飲み物があると非常に助かるのになぁと思いました。
そもそも饅頭に漬物といえば、やはり定番は「お茶」ですよねぇ(笑)。

ここからはダウンヒルですが、途中までの道は公道というよりスキー場内の連絡路という道で、曲がりくねっていて勾配もあり、危険なので先導者に続いてグループで下山します。
野沢温泉の中を進み、スキー場の駐車場が給水ポイントになります。

ここで折り返し地点になりますが、ここに来るまで要所要所で栄養ゼリーやパワーバー等で補給もしてありますし、脚の様子も問題はないようです。

さてここから今まで走ってきた道を引き返します。
ここが今回最大の難所である、17km、高低差800mのヒルクライムになります。
単独でヒルクライムイベントなら特に難易度が高いほうだとは思いませんが、ここで全てを出し切るわけにいかないところが、山岳ロングライドの難しいところだと思います。
僕個人は、体力はともかく、脚の消耗だけは最低限に抑えるように、出来るだけ軽いギアで負荷をかけないようにノタノタの登るだけです。

いつもは走行中の写真も多く撮りますが、危険なのでここでようやく一枚パチリ。

こんな感じのところを走っているんですね。

ここはスキー場があるくらいで視界が開けている場所なので、標高が上がると眺望が素晴らしいです。


8kmほど走ると第三ASの「上ノ平高原」ASに到着します。
ここまでの勾配は個人的にそんなにキツイものだとは思わなかったです。



ここでは「お焼き」と温かいスープが出るのが嬉しいですね。
お焼きは、個人的にそんなに美味しいものという認識はなかったのですが、この「切干大根」が入ったお焼きは絶品でした。

甘辛く煮込んである切干大根の味が染みていて、オヤツというより一回の食事の代わりになる物だと思いました。

ここから先のヤナギランガーデンASのある当たりまでが上り坂になりますが、ここからの勾配は結構きついもので、到着する頃にはヘロヘロになってしまいました。
第二ASは既にクローズドの準備に入っていましたが、僕はここでとりあえず休憩します。
脚は疲れていますが、攣りそうな気配は今のところなく、とりあえずある程度の上り坂ならまだいけそうな感じなので一安心です。
ただこのあたりからだんだん雲が多くなってきて気温が下がってきたのと、予報通り南寄りの風が吹いて、ところによっては結構向かい風になっているのが気がかりです。

ここから22kmほど山岳ルートで上がったり下がったりしますが、既に消耗しているので往路の勢いは維持することができません。
なんとか第四ASでもある「木島平村AS」に到着です。
ここでは「おにぎり」が振舞われますが、多分ここの特産ということでお出しいただいたのでしょうが、ラストスパートをかける前に出されてもなぁというのが正直なところです。
お米は多糖類で、ゆっくりエネルギーに変わりますから、できればイベントの前半で出して欲しいんですね。
この時点だと、エネルギーに直ぐに変わる単糖類の入った果物とかハチミツが適していると思います。
足に乳酸が溜まっているので、乳酸を貯めにくくするクエン酸も取れる果物はありがたいですね。
このあたり、イベントをコーディネートする方々で知識のある人がアドバイスしてあげればいいのでは?とも思います。
とはいえ、地元特産の美味しいお米ということで、一個だけ美味しいおにぎりをいただきました(笑)。
だったら文句言うなよなぁ!ですね。

さて残りは25kmですが、最後の15kmほど最後の上り坂が残っています。
やはりそろそろ脚に違和感が出てきてペースは上がりません。
それより曇っていることもありますが、沢沿いの山道は冷たい風が吹き付けてかなり寒くなってきました。
ここに限らずここまでの行程のほとんどは単独走行ですが、先頭グループにいたので早い人はさっさと先に行ってしまい、落ちてくることはなく、後続グループから早い人が来ても、これまた先に言ってしまうだけで、同じペースで走る参加者はあまりいませんでした。

雑魚川沿いの上り坂をようやく上りきり志賀高原にたどり着きます。
本当にようやくという感じです。
この先志賀高原ゴルフ場(何処にでもゴルフ場はあるんだなぁ)を過ぎると、川の反対側の山道にわざわざ遠回りさせられます。
この期に及んでまた山登りですが、もう流石にうんざりですねぇ(泣)。

途中追いついたご主人は息も絶え絶えといったところで「絶対コース設定がおかしいんだよ!」と怒りながら走っておられました(笑)。
まあ気持ちは同じなんですが(笑)、設定する方もする方ですが、わざわざ走る方も走る方ですよね(苦笑)。

しかし、ここの最後の5kmは本当に長い5kmでした!。
ようやく宿泊街を抜けてゴール地点に到着です!。



志賀高原ロングライド、無事完走いたしました。


115km走行して、タイムは7時間11分でAV18.8kmというロングライドで個人的に最も遅い記録を樹立しました(苦笑)。
獲得標高ですが、流石に3950mはなく、マイナス標高の方の2430mが正解でしょう。
距離が2kmほどロストしていますが、おそらくGPSが取れないところでロストして何処かの空を飛んでいたのを拾った結果でしょう(笑)。

さてイベントの感想ですが、十分走り応えはありました。
このイベントのキャッチコピーの「挑みたくなる大自然」という点は、個人的にはあまりピンと来なかったというのが正直なところです。
これは各々の感じ方の問題なのでしょうが、この「奥志賀スーパー林道」というコースは、高い平均標高や、ここが秘境であることは十分認識していながら、僕のように北関東3県の山間部を知っていて、普段走っているいる人間にとっては意外と「見慣れた風景」だったんです。
正直もっと「高原」らしい、「高山」らしい眺望の開けた「志賀草津道路」のような、観光道路だったらイメージがまた違っていたのかもしれません。
まあ、第一回という事で、とにかく無事開催されただけでも賞賛されるべきだと思います。
今後「第2回」に繋げるのであれば、今回の参加者や、いろいろなイベントに参加している「ロングライド」乗りの意見などを積極的に取り込んで欲しいなと思いました。
とにかく大会関係者の方々、地元の協賛された方々、お世話になりました。

個人的には今回は「一応」想定通りの走りができたことは満足できるポイントだと思います。
色々と手段を尽くした結果とはいえ、最後まで脚が持ったのもホッとしました。
現時点のウェイトやパフォーマンスの範囲では、十分実力を出し切って走れたと思います。
希望としてはこの調子でなんとか来月も乗り切って、来月末に開催される「セオフェスティバル、4時間エンデューロ」に繋げて、今年の有終の美を飾れればと思います。