もう何度もロングライドイベントには出場していますが、「人生楽ありゃ苦も有るさ」と水戸黄門の歌のように、色々なドラマが有り、同じ場所の大会でも、同じ結末ではないものです。
今回で4回目の出場となる「びわ湖ロングライド」ですが、今までで一番厳しいイベントとなりました。

まあ、毎年思いますが、この時期にサイクリングイベントというのは、天気が良い事の方が少ないような気がしますし、特に滋賀県の北部地域は、「南東北」と揶揄される北関東に勝るとも劣らない寒さです。
天気予報はずいぶん前から自信満々で「良くて曇り」という感じで、前日に移動していて、栃木県からだと、上信越道を使いますが、碓氷峠付近はこの有様です。


横川SAで休憩していると周囲の風景はほとんど真冬です。

なんだか先行きが不安です。

小諸を越えたあたりから天候は回復してきました

ただ風はかなり強く、現地に付くまでほとんど強風による「横風注意」のサインが出ていました。

今年のびわ湖ロングライドは「彦根」がスタート地点なので、現地に付いて前日エントリーをすませてから、市内をロケハンしました。
イベント会場、駐車場、宿泊するホテル、駅、繁華街などのだいたいの位置関係を頭に入れておきますが、これが結構役に立ちます。
しかし、彦根の古い街並みの残る市街地の狭い道に、宇都宮ナンバーの車がグルグル走り回るのは、なんだか「不審者」みたいですね(苦笑)

そこで見つけたのがこれです。

彦根駅の近くにある、正統派「大衆食堂」ですね。
どうしても「グルメ妖怪アンテナ」がビビッときましたが、これは完全に「いちかばちか」ですね。

まあ、お世辞にも綺麗とは言えないお店でしたが、このメニューの豊富さと値段にビックリです!

自分の土地で従業員を使わないとはいえ、これはかなり安いです。

定番のカレーを頼みました

お約束のお味で、この値段なら十分満足です。

さて翌日3:00に起床してウェア類を着込んで準備をします。
今回宿泊した「ホテルルートイン彦根」さんは、なんとイベント出場者の為に4:00に朝食を用意してくれていました。

実際には3:30頃には用意が出来ていて、朝からしっかり朝食を取れて、速めに現地に向かう事が出来ました。
これは本当にありがたいです。

ホテルのご配慮に感謝しながら朝食を食べますが、なにか食欲が出ません。
僕の場合どんなに朝が早くとも「どんぶり飯」を平らげられる方なのですが、小さい茶碗によそったご飯を納豆で流し込むのが精いっぱいという感じで、なにやら様子が変です。
じつは数日前から酷い便秘で下腹が張っていて、オマケになにやら胃の調子も思わしくなく、もたれる感じがしています。
まあ、体そのものは重くないので、この時点ではそんなに気にもしていませんでした。

4:15ころスタート地点から約1.5km離れた駐車指定場所に到着して、バイクの準備をします。


周りも暗いなか黙々と自分のバイクを準備しています。

しかし今年も本当に寒いです!
装備としてはほとんど真冬のイベント並みの装備が必要とされますが、もう勘弁してほしいです。

準備が終了して、裏道の真っ暗な田舎道を会場に移動します。

多くの参加者は案内書にあるルートで大きな道を移動していますが、こういう時に前日ロケハンしておいた事が役に立ちます。
しかしまるでブルベしているみたいですね(苦笑)。

琵琶湖畔に出て、街道脇の電光掲示板に「凍結」の文字が見えます。

見ずらいですが、温度は「0℃」で、夜明け前後や山間部はおそらく氷点下でしょう。

スタート地点は「彦根ビューホテル」という、琵琶湖畔のホテルの駐車場が会場になります。


今回は広いエリアが取れたので開会式も説明も良く聞けました。

5:45にセンチュリーコースがスタートです。
後方の方に位置していましたが、周囲が比較的元気な集団で、先導者に続いて結構良いペースで35.7km先の「道の駅あぢかまの里」エイドステーションに向かいます。


走っていてそんなに調子は悪くないのですが、なんとなくしっくりきません。
そのせいかどうも走っている時の記憶があまりありませんが、こんなところを走っています。


さてエイドステーションに付きましたが、なんとまったく食欲が有りません!
この「あぢかまの里」では、オニギリと天かす入りの味噌汁、美味しい菓子パンがいつも楽しみなのですが、特に固形物を食べる気になれません。
本当は序盤にしっかり補給しておかないと必ず後でバテる事は判っているのですが・・・・・・。
これはまずいと、先のコンビニで温かいお茶で小さいオニギリを無理やり押し込みましたが、これがかえってよくなかったようで、胃がムカついてきて時折吐き気もします。

この辺りからもう通常のペースでは走れなくなっていたので、AV25㎞/hくらいで流していましたが、だんだん辛くなってきました。


淡々と走って「マキノ町海津」という所から、国道を内陸部に入るセンチュリーコースに向かいます。
キツイ勾配ではないのですが、1㎞ほど延々と登るこの地点は、昨年は随分苦しかった記憶がありますが、今年は体調が悪いわりには淡々と登れます。
5km程の回り道ですが、後半は下り坂で快適に進めます。


ここから次のエイドステーションまでは・・・・、あれれ?あまり覚えていません。
やはりだいぶ辛かったのだと思いますが、集団ではなく一人で走ることが多く、やや向かい風だったことも有り、79.9kmの「びわ湖こどもの国エイドステーション」に付いたころには、もうほとんど体力が残っていない感じで、やはり補給食は口に出来ず、屋外の椅子に座りこんで動けなくなってしました。
一応携帯していた補給食の「スポーツようかん」やサプリメントをお茶で流し込みましたが、ほとんど効き目がありません。

なんとか走り出しましたが。平地でMAX25km/hを出すのが精いっぱいで、海岸線沿いの国道を走っていて次から次へと抜かされていきます。
実はこの時点でほとんど「リタイヤ」という4文字が頭から離れなくなり、次から次へとネガティブな考えが頭に浮かんできますが「体調不調のリタイヤだけは絶対に嫌だ!」という執念だけでペダルを踏んでいました。
しかしもう20km/hも出せなくなってきて、下腹部も痛み出して堪らず最寄りのコンビニに不時着しました。
もうろうとした頭で「今何時かな」と腕時計を見ま・・・・・時計が無い!

どうやらウインドブレーカーを脱いだ時に、その場所に置いてきてしまったようですが、何処で着替えたのかも既に覚えていないような状態で、戻るわけにも行かず、お気に入りのプロトレックを失くしてしまいました。
もう万事休すで、気が抜けてここで連絡してリタイヤしようとほとんど決意しかかっていました。
多分ここで一人でいたら絶対リタイヤしていたと思いますが、此処に数人の参加者もいらっしゃっていて、何人かとお話させていただきましたが、なんてことのない世間話をしているうちになんとなく気分が落ち着いてきました。

ある意味開き直って何とかしてみようと思いました。
まず汚い話ですが、お腹がかなり張って痛かったのですがトイレに行ってガンバリました(苦笑)
すると少しスッキリしたので、栄養を取ろうとコカコーラで「みたらし団子」を流し込んで、目の前を走り去った集団に追いついて、付いて行くことしました。
この集団は25~30km位で進んで行きますが、何とかついていく事が出来ました。

琵琶湖大橋を越えて対岸に戻ってくればなんとなく終わりが見えてきます。
108km付近の「鮎家の里エイドステーション」に付くころには随分調子が上がってきましたが、絶対的に補給が足らないことは事実で、何かを食べたいのですが、此処で出る「鮎のから揚げ」や「カレーライス」は、まったく受け付けなかったので、「ソフトクリーム」を食べてここを飛び出します。
このあと長命寺港を回る湖畔のコースは上り基調で、ここは付いて行った方と出来るだけ軽いギアでノンビリと登ってやり過ごします。


134.2kmの「湖岸緑地南三ツ谷公園エイドステーション」の目前のコンビニでもう一度トイレに行くと、あれだけ頑固な便秘がほぼ解消していました。
胃のむかつきも随分緩和していて、栄養ゼリーで補給をすると、なんだかほとんど調子が戻っています。
脚の消耗もなく疲れもなく、140kmも走った感じはしませんが、それもそのはずでほとんどスパートを駆けて走っていませんから、栄養さえ体に回ればこちらの物です。

残りの20km余りは早い集団に反応して付いて行き、途中5㎞位は向かい風の中30km/hを維持して集団を引っ張ってゴールすることが出来ました。
何のことは無い、最後の最後に成ってようやく調子が戻ったようです。
今回は160kmをAV24.6km/h、を8時間かかって走りましたが、当然のように今までで一番遅く、去年に比べると同じコースで1時間15分も余計にかかってしまいました。
とはいえ走りきれただけで上等で、あれだけ「もうろう」としながら走っていたので、事故も無く無事に走りきれたのは不幸中の幸いでした。

しかい、確かにこの時期は去年も胃腸の調子を崩していましたが、今年はどちらかというと仕事や家庭内での「ストレス」が何時も以上に体に負担をかけていたようです。
これで、大事を取って家で大人しく休養をとったとしても、一日寝ていたとしても体調が戻ったかは疑わしく、やはり体を動かすことで精神と肉体の疲労バランスが取れる事の方が、はるかに効果があるようです。
ゴールした後駐車場に戻って、近くにいた長野県飯田市から来たという参加者の方と談笑して、30分以上も自転車の素晴らしさを熱く語っていたくらいですから、どうやら調子を取り戻したようです(苦笑)。