年々人気が上昇してきて、多くの県外からのライダーが訪れてきていただいている「那須ロングライド」ですが、昨日7月10日に開催され、今年は「サポートライダー」という形で、イベントのお手伝いで走りました。
しかし、人気が上がるのは結構な事なのですが、目玉の100kmヒルクライムコースに至っては、エントリー開始15時間後に「満員御礼」に成る始末で、自分の仲間たちは結局一人もエントリーできませんでした。

僕も諦めていたのですが、ショップから連絡があり「ボランティア」を募集しているという事で、「下山先導ライダー」で応募しておきました。
なんだか自分だけ参加するのも仲間に申し訳なかったのですが、あくまで参加するライダーのサポートという事で、当日はその役割に徹することにいたしました。

当日は6:00に集合という事で、4:30に自宅を出て指定されたボランティア用の駐車場に5:30頃到着しました。
多少早めについたのですが、自転車乗りというのは本当に朝が早くて、周囲や立ち寄ったコンビニは参加者で一杯です。
で、参加者の一人が乗ってきた車です。

初代セリカLBで、子供の頃憧れた車ですね。

トイレで軽量化を済ませて(笑)、駐車場で準備を始めます。

前夜が雨でしたが、当日は朝のうちは濃霧であとは快晴が予報されていましたが、道は濡れているだろうと、この「泥除け」を付けました。
最近イベントとかで良く見かけるもので、Amazonでも販売していましたが、「人の不幸」に付け込んで「ブレグジット効果のポンド安」を利用して、Wiggleで消耗品やコンプレッションウェアを買い込んだときに一緒に注文したので、Amazonの最安値に送料無の値段で購入しました。
サポートライダーと言っても、結局コースを全部走りますし、自分の事だけでなく参加者のお世話もするので、普段のイベントに出るのと同じ準備と緊張感は要求されます。

6;00にボランティアの受け付け開始ですので、会場に向かって登録を済ませます。


決して狭い会場ではないのですが2400人の参加者がが集まると壮観ですね。


イベントのサポートカーは、主催する「那須ブラーゼン」と「宇都宮ブリッツェン」、「MAVIC」のサポートカーが使われています。

多少なりとも野暮ったい無骨なデザインのSUBARU車も、カラーリング次第で本当に映えるんですよね。

サポートライダーとして協力していますが、我々はあくまで「縁の下」の存在で、サポートライダーの主役は彼ら達です。

忙しいツアーの合間でも、この手のイベントでは問答無用で丸一日イベントのサポートにコースを走り回りますから、「地元密着型」のプロチームとはいえ大変ですね。

一応任務は下山ライダーですから、「峠の茶屋」から温泉街先の交差点までが受け持ちですが、スタッフのベストを着て走っているので、「観光気分」とはいきませんが、天気の良い那須高原を走るのは本当に気持ちが良いです。


しかし天気が良いという事は気温も高いという事で、第一エイドステーションを越えて、那須どうぶつ王国に向かう、比較的傾斜の緩い長い坂の途中で、多くの参加者がパンクや足の攣りなどで道端で往生しています。
一応皆さんには声掛けをして、助けがいるかどうかは確認しながら登っていましたので、そんなに先を急ぐ走り方はしませんでしたし、エイドステーションも参加者優先ですので、一時間後に「マウントジーンズ」駐車場のエイドステーションまではノンストップで走りました。

が、ここも「満員御礼ですので、手持ちの補給食や塩熱サプリだけを取って先に進みます。

此処から「大丸温泉」のエイドステーションまでが、本格的な山岳コースで、難易度が上がるのですが、最初の下りで早速チェーン切れの参加者のレスキューをしたりしていました。
また、僭越ながらギアの使い方が適切でない女性ライダーや、むやみにダンシングで脚を消耗させているライダーなどに、声をかけて「とにかく軽いギアでクルクル回して、気楽に周りの景色でも楽しんでいれば、何時かは山頂に付きますよ」とアドバイスなどをしていました。
此方はひたすらデブで坂が苦手なだけですが(苦笑)、苦手なりに色々工夫してなんとか上ることができるようになった、ヘタレなりの「ノウハウ」は豊富ですので(苦笑)、少しはお役にたてたでしょうかね?

大丸温泉でようやく「かき氷」にありつけました。

距離は走っていませんから体力の消耗は無いのですが、やはり高山の強い日差しのせいなのか、多少頭がフラフラする「熱中症」の兆候は出てきました。

此処からは2km程の道のりですが、平均勾配が10%を超える激坂の連続で、正真正銘インナーローでノロノロ登るだけになります。
と、ここに来るまで何度か途中で出会った方ですが、初心者のサポートで走っているので先に進めない代わりに、なんと「アウター」で登りきったそうです!
あとでよくよくお話を聞いたら、今まで一度も足が攣った事が無い「体質」なのだそうで、恐れ入る剛脚です。

僕もようやくたどり着きました。


ここで目玉の「ウナギ御結び」を頂きます。

今回は僕が頂いた後品切れに成ってしまいました。

時間的にはもうほとんど最後尾の方だとは思いますが、此処に来るまでにずいぶん多くのライダーが戦闘不能になっていましたから、恐らく登りきれない参加者もいなくなくはなかったのではないでしょうか。
ただし、昨年のように頻繁に救急車を見かけたり、サイレンを聞いたりすることは、少なくとも僕が走行している間はありませんでした。

僕個人はここからが任務の本番で、頂上で取り仕切る宇都宮ブリッツェンの柿沼さんの指示で、下山するグループを率いて安全な場所まで先導します。
これはヒルクライムイベントなどでも実施されている事ですが、特に今回のような「クローズ」されていない公道を下山する場合、僕に言わせれば「いい気になって調子に乗って」速度を出し過ぎてセンターラインをオーバーしたり、ガードレールに激突したり、タイヤがバーストして転倒したり、握力が無くなってブレーキが握れなくなって激突したりetc、etc・・・・・・と、危険な事ばかりとなります。
で、先導者が速度を30㎞/h以下に抑えて、出来ればヘヤピンコーナーの減速や、路面の状態を把握したうえでのライン指示等を行って、安全に参加者を下山させるのが下山先導ライダーの役割になります。

とまあ固い話はともかく、那須湯本の温泉街を抜けて、一軒茶屋の交差点までグループを無事に先導して、僕の本日の任務は終了です。
ただこの時点でも50㎞程度しか走れていないので、残りの30㎞のコースは全部走ることにします。

この後はしばらくは下りで南下するコースで国道4号線を超えるとアップダウンが間断なく続く嫌らしい感じのコースに成ってきます。
なんだか見覚えがあるなぁと思ったら、ブルベで走ったコースでした。

国道294号に出て左折すると「道の駅伊王野」のエイドステーションに付きます。
しかし、下界に降りてからは凄まじい暑さで、ほぼ熱中症になりかかっていたので、水道の水を頭からかぶって、塩熱サプリをボリボリかじってなんとかしのぎます。

この後294号を北上して、山間の遅い道に入ります。

この辺りはほとんど土地勘がないのでなんとなく走っていて新鮮な感じがします。

この後山間の道にはいって、幾つかのグループを見守るようなポジションで走っていると、恐らく高齢の女性と思われるライダーに追いつきました。


見ると白い日よけのインナーキャップを被っているのかと思ったら、なんと綺麗なオール白髪のご婦人で、それでも周囲の若いライダーと一緒に走っていました。
まあ、御節介だとは思いましたが、なんとなく動きがぎこちないので声をかけて色々とお話を聞くと、自転車はともかく、ロードバイクに乗ってまだ1か月目だとの事でした。
失礼ながら御高齢な事も驚きなのですが、更にロードバイクに挑戦して、その上こんなに獲得標高の高い大会に参加して、今まさに完走されようとしている御姿に心から感動しました。

感動といえば、この御婦人の場合、まず自転車に乗れることに感動していて、このコースのロケーションの良さに感動していて、また沿道で応援してくれている地元の方に必ず「ありがとう!」と笑顔で応えるなど、心底このイベントに感動して楽しんでおられる姿が印象的でした。
ある意味「年齢に諦めない」事で、「挑み続ける勇気」を絶やさない事で、これだけの感動を得る事が出来るという、人生の大変良い見本を見せていただいたと思っています。
一方別の場所であった、恐らく同年代のご主人は、自転車で山の上に登って来る多くの参加者に感心するやら呆れているやらという口調で、「俺は歳だから自転車で登るのは絶対無理なんだよ」と、したり顔で吐き捨てていましたが、その人の人生の選択に僕が善し悪しは言えないにせよ、先のご婦人と比べると、同じ時間を過ごしていても、その人生の「意義」は歴然だなと確信しました。

そんなこんなで「感動の塊」のようなご婦人をゴールまで見送って僕のサポートライダーとしての任務は終了しました。
まあ、せっかくのイベントを、自分の時間をさいてなにもイベントの手伝いなどすることも無いという意見ももっともな事なのですが、僕自身は「裏方」として日の当たらない部分のサポートであったとしても、多くの参加者と触れ合う事により、サポートをするというより参加者の皆さんから、元気や勇気や連帯感をたくさんい頂けることが出来たので、一般の参加者として楽しむ以上に有意義なイベントだったと思います。