私ごとですが、このブログでは何度も書きましたが、そもそも自転車乗りを再開させるきっかけは、医者からダイエットを言い渡されて、なんの運動をするという所から、消去で選んだののがきっかけでした。
もともと20歳までは、ロードマンとかランドナーとかを通学や生活に使っていましたから自転車そのものは好きだったのですが、この話は今から13年前の2004年ころの話で、一般的にスポーツサイクルという概念が普及する前の時代で、今ほど豊富に情報を入手したり、気軽にサイクルショップに足を向けるとかは、「シロウトには敷居が高い」事だったと思います。
個人的には90年代にブームが来た「マウンテンバイク」には興味がなく、「自転車は軽くて早くなければ嫌だ」とロードバイクを近所の自転車屋に買いに行ったら「お客さんの体重じゃ無理だねぇ」と門前払いされて、仕方なくネットで調べまくって通販で買ったのが「クロスバイク」でした。

これは一番最初に購入した「スペシャライズド クロスライダー」です。

もともとクロスバイクとは、MTB(26インチ時代)に細身のタイヤをつけて舗装路面の走りを軽くしたというところから始まったと言われていて、このクロスライダーは、基本的なフレーム構成はMTBでありながら、700Cのホイールをいれたものです。
確かに頑丈で道も選ばず、かといってMTB程重くなく、ギア比も速度が出せるとい(アウター48T)構成でしたので、街乗りやポタリングに使うのにはちょうど良かったバイクでした。

しかし、もともとロード志向で、距離を伸ばして速度も速くしたいとなれば、この重さがネックとなり、遊びでエンデューロレースに出るのをきっかけに購入したのが「スペシャライズド シラス」でした。

Frフォークはリジットでカーボンフォーク、リアもカーボンバックでクロスライダーに比べれば大幅な軽量化が図れて、これでもてぎのエンデューロにも出ましたし、最終的には160kmの道のりをAV26.3km程度で走れるようになりました。

しかしここで多くの人達が陥る「魔改造」の道に突入して、タイヤを「37→32→28→23c」と徐々に細くしていき、ホイールは「完成車組付品→シマノR500→シマノRS20→マヴックキシリウムエキップ」とエスカレートしていき、クランクも105のFC5600のノーマルクランクに変えるなど、ほぼ原型をとどめないほど改良してしまい、ドロップハンドルではない以外はほとんどロードバイク並みのものとなってしまいました。
この写真はモテギエンデューロで、クロスバイククラス3位入賞の時の姿です。


これは既にロードがメインバイクになった時ですが、雨天用のスペアバイクとして用意してあって、実際「ツールド桜川」に出場した時の姿です。

このように、クロスバイクでも十分各種イベントに使用できますし、東京までの往復にセンチュリーライドを加えた泊まりがけのツーリングなどにも使ったのでこれ一台で十分であると考えた時期もありました。

ただ軽量化のためスタンドも付けないなど、結局実用性を低下させた事で、だったら性能で言えば当然ロードバイクの方が上なので、次第にクロスバイクの出番がなくなっていったというのも自然の流れだったように思います。
とはいえ日常で使うにあたって、ロードバイクというのは面倒な存在で、高い物程デリケートで、耐候性(雨など)が無く、メンテナンスを頻繁にしなければ錆が出るなど取り扱いが面倒で、またスタンドもないので自立できませんし、ビンディングペダルを入れれば、専用シューズが必要となりますし、ウェアも専用品で固めるようになると、ヘルメットだけ被って、ジーンズとスニーカーで気軽にお出かけということができなくなってきます。

そこで今までも何台かは通勤とか日常の足としてクロスバイクを所有したことがあります。
下の写真の左側のクロスバイクは「スペシャライズド グローブ」というバイクです。


これは宮田自転車の「リッジランナー」という古いMTBを、リサイクルショップでジャンク品として投売りされていたものをクロスバイク風に再生して使用していた時のものです。

結局これらのクロスバイクは、始めて自転車を始めたいという知り合いに貸出したり売却したりして今手元には一台も残ってはいませんが、やはりスポーツ自転車の入門としては、クロスバイクはうって付けの存在であったということだったと思います。
また、自分の手元には必ずクロスバイクがあるということは、ロードバイクにはない「実用性」と「手軽さ」というところが、自分の自転車生活には外せなかったからです。

去年末に再改造をして走行性能を向上させた自称「GT改+」ですが、長いこと「下駄替わり」自転車としてあまり普段使うこともなく活躍の機会がなかったのですが、再登場させるきっかけは、ある意味ロードバイクに乗るのがシンドくなった事でした。

「ロードバイクに乗る=トレーニング&イベント」、という構図が出来上がると、例えば「よし今日は160kmは絶対乗ろう」とか「やはり山岳路を入れた強強度トレーニングをしなければ」と、考えれば考えるほどそれは楽なことではなく、まだしも天候や体調など条件が良ければ気合も入りますが、曇で気温が低いとか、午後から雨が降るとか、日頃の仕事の疲れが抜けていないとか、「ネガティブ」な要素があると、「今日は乗るのを辞めようか」という方向に行ってしまいました。
結局この悪循環は自転車に乗る距離を減らしてしまうことになり、ローラートレーニングとかである程度はカバーできるものの、例えば今の厳寒のなかや、夏の酷暑の中を走る時に起きる「ヒートショック」の耐候性を身につけるためには、どうしても同じ条件下での「実走」が必要で、距離のみならず、厳しい環境下での「走行時間」も重要であるということで、毎日の通勤や、半日程度のポタリングなどの機会を増やすために、GTの性能を「ロードバイクと比較しても、なんとか許容できる範囲」にしたいということで各種改良を施したという次第です。
とくに今年の冬は「膝痛対策」として、強度をかけない、脂肪燃焼ゾーンの心拍数で走り続ける「LSDトレーニング」に徹しているので、であればロードバイクでなくとも十分だという背景もありました。

正直なところ、平地限定での話ですが、20~25km/hあたりを維持して走るのなら、姿勢が立ち気味で楽なクロスバイクのツーリングは快適であり、向い風が吹けばギアを軽くして速度を落とし、坂道はインナーギアでクルクル回せるので以外に楽に登れますし、スタンドがあるので何処でも置けますし、「散策」気分のポタリングであれば、ロードバイクより遥かに使いやすいです。
また、特別なパーツやデリケートな機構がないので、それこそ「空気を入れて油をさしておけば普通に走る」気軽さは、消耗品やパーツ類の値段も安いことも合わせて、維持しやすいということは言えます。

と、ここまでクロスバイクの良さを語っておいて、なんでお前はロードバイクを5台も所有して、休みのたびに一日中走り回っているんだ!と問われれば、「100km以上のロングライドイベントが好きで、それらのイベントに参加して、早く楽しく走りたいからです」という事になります。
確かにクロスバイクでも十分センチュリーライドなどに参加して完走することは出来るでしょうけど、例えば「160kmを8時間で完走」とかの場合、平均速度でAV25km/hは必要で、これはサイクルメーターで、常に30km程度のところを維持して走る必要があり、ロードバイクの「空気抵抗の少なさ」が必要になります。
また「獲得標高2000m」とかになれば、バイクの絶対重量が効いてくるので、10~15kg程度のクロスバイクより、9~7kgのロードバイクの軽さが累積して効いてきます。
当然ヒルクライムやロードレースのように競技志向となれば「レースするために特化された特性と性能」を有するロードバイクが必然となるわけです。

さてここで本題の「初めての自転車選び」というところに入りますが、長々と自分のクロスバイク遍歴や考え方を述べたのは、「目的に会った自転車を選びましょう」という、一言で言うと身も蓋もない話で終わってしまうので、その背景を説明したかったからです。
いまやネットで調べただけの「付け焼刃の知識」で、学生が30万円以上もするカーボンフレームのロードバイクを、やはりネット通販で購入して、ヘルメットもしないでママチャリ感覚で乗り回してしまうという事がまかり通る時代になってしまいましたが、お金があって「カッコイイからロードバイクを買うんだ」という方々には、僕は何も言うことはありません。
ただ、少なくとも我々の同年代や、家族をお持ちのお父さん、家計のやりくりに大変な奥さん方、独身とはいえ何かと出費の嵩む方々など、当然予算が限定されるわけで、「よし自転車を買ってサイクリングを楽しもう」と考えても、購入にあたっては慎重にならざるを得ない「事情」があるわけですよね。

で、今回いろいろな自転車を比較購入するにあたり、何も「指針」が無いと選ぶに選べない、もしくはショップの店員の言いなりになってしまう(良心的なショップならいいのですが)ので、一般論に「どすこいライダー流」の見解を加えた、種類別の比較表を作成してみました。

意図してわけではありませんが、自分でまとめていてクロスバイクというのは「とくに秀でているわけではないけど決定的に悪いところもない」、よく言えば無難な選択で、悪く言えば中途半端だという、一般的に言われていることを再確認してしまいました(笑)。

要するに使用する目的ははっきりしているのなら、例えば競技やロングライドを目指したいというのなら、最初から相応の値段のロードバイクを購入したほうが、後々の改造も楽で、買い換える必要もありません。
車に乗せて観光地などに持っていき、そこで散策したい、鉄道に載せる「輪行「をしたいというのなら、折り畳み自転車やミニベロがよいでしょう。
もう、ガンガンに悪路を走りたい、ダウンヒルをしたいというのなら、マウンテンバイク以外の選択肢はありません。
完全に「生活の足」で、出来るだけお金をかけたくないというのなら、ママチャリの実用性は侮れませんし、そこに体力の不安があるというのなら電動自転車ということになるでしょう。

でも「とりあえず」、「まだ何が良いのかわからない」というのなら、中途半端と言われるクロスバイクの「万能性」が、生かされるのではないでしょうか?
とりあえず何にでも「そこそこ」使えるので、いろいろ試してみて、それから自分に向いた物が分かってきてから、その目的に沿った自転車を購入するというのは、間違いが少ないと思います。

「始めたいけど、続けられるかは自信がないから高い自転車は買えない」というお話もよく聞きますが、そういった意味でもクロスバイクは比較的値段がこなれているので敷居が低いですし、僕個人的な意見では、「中古品」で安いもので良いので、きちんと整備してコンディションが良いものがあったら、買い替えが前提の方ならそちらのほうが間違いがないのでは?と思っています。
個人的には、そういう意味で、それこそ捨てられたようなMTBやクロスバイクを探してきてはレストアしておいて、自転車生活を始めたいという人達に扉を開いて手助けしてあげるという事を細々と続けています。
そういった意味で、自転車も「リユース」市場がもっと成熟して、安心して手頃な自転車が購入できるようになれば、もっとスポーツ自転車、サイクリング、ロードレースなどの新興に役立つのではないかと思います。