このところ、MTBの再生や、クランクのテストなどで、毎日使っている通勤車の「シラス」は、すっかり手をかけなくなっていました。
まあ、毎日使う「道具」なので、デリケートでそう頻繁に整備が必要なのでは困りますが、やはり「スポーツ自転車」の場合、最低限のメンテナンスは必要だと思います。

という事で、改めてシラスを見ると、あちこちのボルトが緩んでいたり、泥が溜まったりとひどいことになっていましたが、中でもブレーキは酷い事になっていました。

FRのシューはかなり減っていて、FR/RRともに、ワイヤーのエンド部が、数度の調整のせいで、ボルトでつぶれたところが解れていました。


もうこれはダメダとかねてから用意してあったパーツで、ブレーキをオーバーホールすることにしました。

必要な物は、まずワイヤー類で、これはシマノのMTB用の「スタンダードブレーキワイヤーセット」が690円で、あとテクトロの「Vブレーキシュー」が336円×2です。


まずVブレーキ側のボルトを緩めてワイヤーを引っ張り出します。
そのとき、インナーリードユニットや、ワイヤーアウターを、順番に並べておきます。

こうすれば組み立てる時に迷わないで済みます。

そしてレバーの根元のリンクから、ワイヤーの通称「タイコ」の部分を外して、取り外しは完了です。


ブレーキワイヤーの破断などのトラブルは、ほとんどがこのタイコの部分だそうです。
外したワイヤーを見て見ましたが、2年使用していてほとんど劣化は無かったようです。

一応この部分にスプレーグリスを塗布しておいたのが効いたようです。

新品はあらかじめ、おなじみシマノの「DERA-ACE」グリスを満遍なく塗っておきました。


次は、アウターを切りそろえます。
神経質な人は、取り回しを考えてミリ単位で細かく設定するそうですが、僕は手っ取り早く、元のアウターと同じ長さにそろえて切りました。

しかし、切れないニッパで切ったので、切り口がギザギザになってしまいました。


これはトラブルの元になるので、まず、ヤスリで平らにしました。
そしてつぶれた穴を、自転車専用のワイヤーカッターについている「爪」で元に戻します。



これでエンド部は綺麗になりました。


あとは外した逆の順序でワイヤーを通してボルトを締めます。


このときレバー根元にある調整のスクリューを、一番ブレーキが開く方向にセットしておきます。

この後、ワイヤーの初期伸びや、シューが減ったときに、閉じる方向に調整するからです。
あとは、シュートリムのクリアランス(3~4mm程度)あけてボルトを閉めます。

最後に適当なところでワイヤーを切断、エンドキャップをカシメて終了です。


パットの交換は、シューのボルトをアーレンキー(六角レンチ)で外します。
そのとき以下の部品の順序を覚えておいてください。

アルミの凹みのある厚いワッシャで、実はリムの幅に対応しています。
厚みの違うワッシャを、外と内で入れ替えることによって、クリアランスが変わる仕組みになっています。
このワッシャは凸形のワッシャと組合わすことで、シューのリムに対する角度を自在に変えることが出来ます。

ブレーキをかけた状態で、シューの幅の中心線が、リムの当たり幅の中心線と合うようにして、横から見たときに、シューとリムの円弧が傾かないようにセットします。


また、上から見てFR方向が狭い八の字、つまりトーイン方向でセットすると、泣きが無く、かっちり効いてくれるブレーキになります。

とはいえ、これがなかなか難しく、毎度一発で決まってくれる事はありません。
ベテランの整備士の手に掛かると、恐ろしいほど効いてくれるようになるといいますから、経験とコツが必要なようですね。

最後に左右のクリアランスを調整して完成です。
やっぱりきちっと利いてくれるブレーキは気持ちがいいものですね。

自転車屋サンに頼めば、部品代+1000~2000円程度の工賃で、きっちり仕上げてくれますので、そちらの方が安心で手間も掛からないのですが、いざというときのトラブルを自分で何とかしなければならないときもあるので、ブレーキ関係の整備やセッティングは覚えておいても損は無いと思います。

僕の場合、MTB系の整備は、圧入や切削が必要なもの以外は一通りできるようになりました。
今度はロード系のマシンをいじって、自分で組めるようになりたいですね。