昨日、茨城県の「筑波山」の北西部に広がる、桜川市で行われた「ツールド桜川」で、山岳路を含む「パノラマビュー、Aクラス」に参加してきました。
「パノラマビュー」という不気味な言葉の通り、桜川市の東にそびえる標高709mの「加波山」を含める、筑波連山を南北に縦走する尾根沿いの林道を上り下りして、周辺の田園地域を含めて100km走行する「サイクリング」イベントです。

この尾根沿いの林道は、東西が開けていて、絶好の撮影ポイントとして何度か車で行った事はありますが、車でさえ山道に慣れていなければ「危険」と思うくらい険しかったと記憶していて、こんな所を自転車で走るなどとはつい最近まで頭の片隅にも有りませんでした。
いや、ホントに(笑)。

が、いくらデブで坂が嫌いとはいえ、いい加減覚悟を決めて、ある程度の山岳路を越えてロングランをする為には、「自分試し」として山岳路を含むイベントの出場を考えていたので、意を決して、衛星軌道から飛び降りる覚悟で、イベントに申し込みました。
距離は100kmとロングランイベントとしては短めですが、この標高は侮れなさそうです。

いつもならネットで細かく情報を仕入れるのですが、今回は、不幸な情報はあえて知らない方が幸せだと判断しました(笑)。

さて、当日エントリーは5:30受付でしたので、6時ごろ到着を目指して現地に向かいました。
会場は桜川市真壁福祉総合センターというところです。


予定通り6時前には着いたので早速受付をしました。


参加賞として、なんとお米を貰いました!。

1万円払って栄養ゼリー1袋なんてイベントもありますが、終了後のお楽しみ抽選会で(トレックジャパン協賛で、グッズ山盛り!)ハズレのイチゴも貰いましたから、参加費4500円でこれはお徳感はあります。

開会式まで1時間半以上あるのでゆっくり準備をして軽くアップをする事にしました。
さて、此処で悩ましいのが「天気」です。
予報では10時ごろには雨が降り出し、しかもかなりしっかりした降雨が予想されます。
今回、雨が降らなければロードの「FELT」で、雨が降るのならクロスの「シラス」と選べるように、2台とも持ってきました。
携帯でレーダーを確認すると、もう埼玉県まで雨雲が迫っていたので、シラスで出撃する事にしました。

今回のシラスは、前回の「東京センチュリーライドを含む、東京へのツーリングでの経験を参考に、改良を加えました。
具体的には、ロングライドイベントなどで、35km程度のAVの場合、FRアウターの50Tは必要が無く、よりローギアにする為、FSAの46Tに付け替えました。


また、登坂路が続く場合、脚とスタミナを保つ為に「お助けギア」として、リアのスプロケットに、アルテグラCS6500の12-27Tの歯数のものに変えました。


また、軽量化と、スタンディング時の剛性を確保する為、ホイールをMAVIC「エクイップ」に、走行抵抗の低減も軽減する為タイヤを23Cのブリジストン「エクステンザRR2」に履き替えました。

このタイヤは「やっとこ」氏のバイクに装着されていた物ですが、まだ100kmの走行していない新品同様の物で、氏が決戦用タイヤに履き替えるという事で、かなり安価で譲っていただきました。
ブリジストンの自転車用タイヤにはかねてより興味があり、ロングライド用と銘打って販売されていたRR2は購入候補と考えていたので、渡りに船とやっとこさんのご好意に甘える事にしました。

そのほか、今回は雨天走行仕様も試すという事で、ロードやクロスに簡単に取り付けられる、ホームセンターで前後2300円程度で売っていた「アメリカンイーグル」という銘柄の、細身の泥除けを装着しました。


さて、7:45いよいよ開会式です。

此処ではじめて知りましたが(笑)、今回が第10回のメモリアルイベントだそうです。
また地元行政や警察の前面協力を受けているそうで、市長さんもスピーチしていました。
まあ、観光のアピールですが、桜川市の中心部の、旧真壁町の町並みは江戸時代の風情が色濃く残っているそうで、何でも国の保存指定を貰えることになっているそうです。
今度ゆっくり回ってみることにします。

またコースの説明がありましたが、此処で初めてこの山岳コースの全容を知りました。
役員:「平均斜度は10%ありますよ」  
 僕:「えっ!」
役員:「最大斜度は15%あります」
 僕:「ええっ!!」
役員:「途中で引き返してもいいですよ」
 僕:「聞いてないよぉー!!!」
もう遅いですよね(笑)。

さあいよいよスタートです。
A番号の「パノラマビューコースの出場者は341人もいて、10人ずつ、1分おきにスタートします。

僕は160番台だったので、16分後だという事で、余裕を持ってスタートを待ちます。

8:16スタートしてまず西の平野部を17kmほど走行します。アップを兼ねているようです。
僕のグループは30km~程度の速度で黙々と走り出しました。
まあ、もう少しペースは上げられますが、先は長いですし、急ぐ事も無いので、そのまま集団の後ろを間隔を開けて追走しました。
すると、案の定、35km~のAVで、引き合いながら先を急ぐ幾つかの集団が勇ましく抜いていきました。
みんなお揃いのジャージを誇らしげに、先を急いでいるようです。
何かと戦っているんでしょうね(笑)。
まあ、僕が見ていた範囲では、今回信号無視してまでタイムを削るような輩はいなかったようです。
最もそういう人は、ずっと先にかっ飛んで行っていたのかもしれませんが(苦笑)。

さていよいよ」登坂です。
入り口にパトカーがいて、警察が此処からの登坂ルートをクローズドしてくれています。
対向車などが無いので、安心して走ることが出来ますね。
緩い上り坂のコーナーを抜けると、もう10%勾配の道が、6kmほどつづきます。
しかもいきなり15%勾配が襲ってくるなど、今まで走った坂道の中で、一番手ごわい敵と向き合う羽目になってしまいました。
どすこいライダー、最大のピンチです(笑)。

すぐに最大心拍数に張り付いたまま、下がる気配はありません。
ギアも27Tに入れて、それでも失速しそうになり、ついには、スタンディングを余儀なくされました。
もう、平地を早歩きする程度の速度しか出ていません。
速いライダーは次々と抜いていきますが、そんな連中を気にしている暇は有りません。

問題は心拍数やスタミナより、こんなに長時間、急勾配でスタンディングを続けたことが無いので、何時脚がオシャカになるのか、時間の問題だと思っていました。
6.3kmを37分もかけて、ようやく最初の山頂の552m付近まで上ります。
やっと下りでホッとできる・・・・・・と、思いきや、この林道は、4つの山を縦走しているので、実は後3回も登らなくてはならなかったのです。
また、その登りが、全て平均10%勾配の上りですから、もう気が遠くなってきます。
そんなこんなで、ようやく登坂も終わり、第一エイドステーションにたどり着きました。

此処には、ふもとから大きな風車が見えるポイントで、まさかここまで自転車で来るとは思いませんでした。


此処まで距離は14.5kmで上昇累計は957mと、実はこれだけでちょっとしたヒルクライムイベント並みの山岳路を1時間13分ほどで登ってきたわけで、たしかに、疲れましたが、不思議とスタミナの消耗は感じず、ずっとスタンディングで登ってきたのに、何とか脚も異常が無く無事に済みました。
あれだけのんびり登れば当然ともいえますが(苦笑)
それでも、苦しいながらも、結構面白いなと不覚にも感じてしまいました。

後は下って、平地コースだけで、これだけダメージが少なければ、あと70km程度は、思いっきり走っても大丈夫だと判断しました。
こうなれば、デブでクロスバイクだからといって、すかして抜いていく、綺麗なジャージまとったロードバイクの連中に遠慮する必要はありません(笑)。
AV35km/h程度で集団走行している何処かのチームを、間隔を開けて追走する事にしました。

風が弱かった事もあり、多少の暖勾配も含めて、ロードの集団に遅れを取る感じはありませんでした。
まあレースではないので、ムキに追ったり、引き離したりはしませんでしたが。

幾つかのエイドステーションをへて、集団から一人抜け、二人抜けと、いつの間にか先頭を引いていたオレンジ色のアンカーのロードとランデブー走行になりました。
間隔を取って、詰まったらラインを外して、意地でも「ドラフティング」は使いませんでしたが、このアンカーのライダーは、変な巨漢の親父が乗るクロスバイクが、執拗についてくるのがお気に召さなかったのか(笑)、しきりに後ろを向いて確認しています。
好意的に取れば、追従走行の安全確認をしっかりしていただいたともいえます。
その証拠に、注意喚起や方向指示のハンドサインは確実に行ってくれて、非常に追走しやすかったです。

途中でペースが合わず抜いた、若いロードの集団を引き連れて、いよいよラストスパートですが、アンカーがどうやら息切れしたようで、最後10kmのスパートは、追走させていただいたお礼に「引きますか?」と言って抜いたところ応じてくれたので、ドラフティングに入れてゴールを目指しました。

ゴールは、この手のイベント特有で、華々しい感じはしませんが、充実感はありました。

ここでタイムを記録すると、プリンターで、即座に「完走証」が出来上がり、すぐにもらえるのには驚きました。
此処までは、天候は何とか持っていて、多少ぱらぱら雨が降る程度だったのですが、着替えていたら本格的に降って来ました。
助かった反面、これならFELTで出場できたなぁとも思いました。
最もFELTでも、タイム自体はほとんど替わらなかったのでは?とも思います。
ただ、累積される疲労度はかなり違うはずで、距離や勾配、天候(風)等がキツク成れば成るほど差は開いてくるのだと思います。

僕がゴールした後、ゴールのピークが来たようで次々にゴールしてきます。


今回は、特に地図としてはあまり宛てにはしていなかった、ユピテルのGPSのログです。

ナビ機能が無いと、このように複雑なルートを辿るイベントはつらいですね。
せめて、登録地点のマークが地図上に表記されれば少しは違うんですけどねぇ・・・・・。

山間部の悪戦苦闘が響いて、平均AV速度は22km/hと、本当に遅くなってしまいましたが、タイムや時間はともかく、得る物は多かったです。
まず、平地の巡航で、46Tのアウターがドンピシャと決まり、多少のアップダウンはインナーの必要も無く、クロスレシオが使えて快適でした。
また27Tのスプロケも、お助けギアとしての威力を存分と発揮して、10%越えの勾配が続いた場合、随分負担を減らす事が出来ました。
タイヤも、エクステンザRR2は、ロングライド用として、十分以上の性能があり、厚いトレットゴムのおかげで、振動吸収特性が秀逸で、全体剛性やグリップも穏やかで、長距離走行に威力を発揮するタイヤである事は間違いなさそうです。

シラスの現行仕様は、平地のみならず、山間部を含めたロングライドにも、十分威力を発揮する事が証明できました。

そして、何よりも自分自身のパフォーマンスが、何とか1000m程度の獲得高度のある峠を越えて、尚且つある程度の強度の走行を続けることが出来るという実証が出来ましたので、その「精神的満足」と、何とかなるという「自信」は、何物のも得がたい収穫だったと思います。

何よりこのような素晴らしいイベントを提供していただいた、実行委員会の皆様方や、協力していただいた桜川市民、役場、警察の方々に、心から感謝したいと思います。