事の始まりは、僕がロードの安いアルミフレームを物色していて、ヤフオクを見てしまったところです。
なんというか悪い病気(笑)で、何かしら自転車を弄りたくてしょうがない性格なのですが、残念ながら自分のバイクは概ね終了しています。
さりとてこれ以上自分のバイクを増やしてしまうのも世間をはばかりますし(苦笑)、気が付いてみれば物置にロードバイクを1台は確実に組めるパーツがストックされてるので、標準的なサイズのフレームを手にいれて、一台仕立てれば、周囲にロードバイクを始めようという人は多いので、「仲間を増やす」事が出来ます。

で、ヤフオクを何気なく見ていたのですが、一台気になるフレームがありました。
それは、イタリアの老舗「カレラ」のエントリーモデルで、アルミの「ブレード」というバイクのフレームでした。


何故このバイクを知っていたかというと、我がチーム「RB08小隊」のエースのN田君が、一目ぼれでご執心して注文しながら、納期が見えてこないのでキャンセルしてしまったという、我々には「曰く付」のバイクだったからです。
そんな経過はともかく、確かに鮮やかなカラーと、すっきりとしたチューピングは確かに魅力的で、しかもこのオークションには、「新品未使用品」の状態で、新品販売価格の半値以下で売られていました。

これなら、かなりリーズナブルに一台組めそうですし、何よりこれからロードバイクをはじめようというライダーにはもってこいのバイクだなと思いましたが、残り時間が4時間しかなく、一人も入札していなかったので、縁が有ればまた見られるかなとその日は落札しませんでした。

そして次の日、この話をN田君に話したところ、尋常でないオーラが湧き出して、目の輝きが増してきました。
かれは、このバイクをキャンセルした後、これまた散々待たされてFUJIの「バラクーダ」という、アルミバイクの戦闘機を手に入れて、得意のヒルクライムのタイムを大幅に短縮したり、かなり気に入って乗っていた「ハズ」ですが、心の底では「ブレード」が気になってしょうがなかったようです。

で、彼の口から出た言葉に、僕は戦慄と驚愕を隠すことができませんでした。
「あのー、soraneko監督にお願いがあるんですけど、このブレードを監督が落札してもらって、僕のバラクーダのフレームと交換してもらえませんか」と言ってきました。
世間一般の当然の反応として「えーっ!、だって今のバイクだって気に入って買ったやつだし、まだ一年もたってないし、どう考えたって戦闘力は落ちるし、なんでやねん!」でした。
しかし、変態性では定評がある僕は、「面白いんじゃないかな」と思い始めて、色々と金銭的な交換条件の折り合いをつけて、その日の夜に再び出品されていたブレードを落札してしまいました。

こうなると変態同士は話が早く、あれよあれよという間にバイクの調整と欠品部品(消耗品関係)をショップに依頼して、昨日に出来上がってきました。


新品未使用品のフレームなので、気になるのはBBまわりの処理で、出品者のコメントに「リタップ(ネジ穴の切直し)が必要です」と有ったので、お世話になっているショップの〇出さんにチェックして調整していただきました。
案の定、BBを組む面が平行ではなく、そのまま組むとBBの軸が傾いてしまう状態だったので、「フェイスカット」といってう面出しをしていただきました。

綺麗に「鏡面」に仕上げていただいて、相変わらず丁寧で確実な仕事ぶりはさすがです。

本日はさっそくバラクーダからブレードに部品の「スワップ」を行い、半日でくみ上げました。
完成状態の写真です。

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鮮やかなオレンジにホワイトのストライプのカラーリングはとてもきれいで、こういう色合いは流石にイタリアンバイクですね。
たとえば「デローザ」のように、細部の溶接の処理にまで神経を使っているというわけではなく、塗装の仕上がりもやや「荒っぽい」所もありますが、元がエントリーモデルですし、すっきりとしたデザインは味があります。
つまり彼の、N田君のバイク選びは、「一流有名メーカーのブランド」や「軽さや剛性、空力」などの絶対性能ではなく、まさにこの「味わいのあるデザイン」にあったわけで、さらに言えば、このバイクは2011年限りでカタログ落ちした「絶版車」であり、「誰も乗っていない」という希少性にプライオリティが有ったわけですね。
この辺りはおおくのライダーにはまったく理解不能な考え方かもしれませんが、自転車は「嗜好品」であり、趣味の道具であるという考え方でいえば、「その人本人しかわからない拘り」で、バイクを選ぶのは当然の選択なわけですね。

かくしてN田君は希望通りのバイクを手に入れて、満面の笑みを輝かせて飛び跳ねながら帰宅していきましたが、我が家の僕の部屋には、その結果として主人を失ったこのバイクが残されることとなりました。

一応在庫であるパーツを仮組して、自立させるため外してあった「アイオロス」を組んあります。
あとは頼んであるワイヤー類などが届けば、一応シマノの105とティアグラの混合パーツですが、10速仕様で完成します。
しかし、このバイクはアルミフレームとはいえ、相当性能を攻めてあり、トラックやクリテリウムなどの競技も出来るような戦闘的なジオメトリーの、操縦性や扱いがデリケートなバイクなので、最初にもくろんでいた「初心者」がいきなり乗るには適していないような気がしています。
とはいえ、その戦闘力と、アルミ特有の反応の良さを見込んで、こういったバイクを欲しがっている我が隊のメンバーの一人が既に試乗を申し込んでいますから、良縁に恵まれて嫁ぐ日も遠いことではないでしょう。

さて、僕の最初の計画は見事に「ふりだし」に戻ってしまいましたから、どうしたもんですかね(苦笑)。