前々回のブログで栃木県北部および東北地方の山間部を走るコースのコンディションが不安で、不参加を示唆していた、ブルベBRM206宇都宮200km栃木路ですが意を決して参加してきました。
不思議な物で9割9分不出場を決めていたのに、本当に意図せず、開催日が近づくにつれて自然と体調などのコンディション調整に入っていて、装備品を整えたり、不足品を購入したり、前日辺りになると高揚感が抑えられない状態になり、とにかく出場して走れるところまでは走ろうと、気持ちを切り替えてました。

とはいえ、出場躊躇していた理由は他にもあり、人間の方のパフォーマンスがイベント用に仕上がっておらず、シーズンオフで山岳練習も控えていたので、ウェイトも含めてかなり難儀することがはっきりしていたからです。
宇都宮AJのHPの解説では「軽いアップダウンと、中盤の戸中峠といった登山区間はありますが、
厳しい急斜面は無く全体的に平坦基調、難易度も控えめで初心者にオススメです」と有りますがそれがこのコースです。

距離205km、獲得標高2000mという、ロングライドイベントでは「グランフォンド」に定義される、上級者向けの難易度のあるコースです。
今回何よりも先週降った雪がどの程度残っているかが懸念材料とでした。

まあ何時もの泣き言はともかく(笑)、準備だけは最善を尽くそうと、まず爆弾を抱えている膝のケアでテーピングをがっちり施します。

毎度汚いオヤジの脚で恐縮ですが(苦笑)、そのほかコンプレッションソックスや真冬用のマッサージオイルなど思いつく処置をすべて施します。

さて会場である、ジャパンカップのコースとして「自転車の聖地」として有名な「宇都宮森林公園」に5;30頃到着します。
周囲はまだ真っ暗で、会場で準備をするスタッフの灯火が忙しく動き回っています。
何時ものように気が早いので会場一番乗りで受付を済ます頃には、今回ブルベ初体験の同僚のN村君や、ショップのチームの仲間や、店長のO出さんなど、さすが地元のイベントで顔見知りとしばし談笑です。

6;40ごろ全体ミーティングが始まり、AJ宇都宮の会長さんの挨拶が有ります。

去年同時期に開催されたBRM208那珂湊の時は、すでに悪天候がアナウンスされていて(事実雨と寒さとの格闘でした)、大勢の参加者がDNSとなりましたが、今年も80人という参加者はいないようでした。
やはり路面状況に懸念が有ったのと、天気予報が天候が崩れる方向に変わっていったからかもしれません。
とはいえ、生粋のブルベライダーにとってはその程度の事では障害にはならないようで、「雨準備をしてこなかったなー」とか困った顔をしていますが、それでも嬉しそうに出走を待っています(笑)。
まあ、順当に自分もその末席に控えてしまっているのですが(苦笑)、困ったものです。

出走は第一ウェーブですので7;00には出走しました。
何時もですと写真を載せたうえで、コースの様子を説明するところですが、今回は何時もにまして写真が有りません。
やはり真冬用に重装備をするとゴワゴワしたグローブでカメラを操作するのが大変なのと、やはりあまり余裕がなかったからです。
54kmの那須塩原市高林のコンビニの第一CPまでは上り基調で向かい風だったことも有りノンビリ隊列の後に付いて行くか等と考えていましたが、あまりに大集団に成ってしまったので、危険と判断して集団から出て、やや無理をして曳いてしまいました。
案の定数人ついてきて集団がばらけたのは良いのですが、ここでかなり脚を無駄に消耗してしまいました。

ちなみに数少ない写真ですがこんな感じのところを走っています。

もはや「ここは東北か!」という感じで、写真ではたまたま青空が写っていますが、ほとんどが曇天で、後半はもっと酷いことになります(苦笑)

此処から第二CPは那須高原を横断して栃木県を東に進んで福島県の棚橋氏に向かいます。
那須町の伊王野というところまで、ルートラボだと下りに見えますが、じつは細かいアップダウンが終始現れて、此処でもかなりスタミナや脚を消耗してしまいます。
同行しているN村君の方が元気で、もっとペースを上げたかったのですが、申し訳ないですがこれ以上上げると終盤まで持たない感じがしました。
それでも今回は、速い人たちはさっさと先行してしまったみたいで、不思議と誰にも追い抜かれることなくここまできました。

ここから先は三蔵川沿いに県境の標高584mの戸仲峠に、約320mの標高差を上って行きます。
確かにヒルクライムなどの峠や、僕が参加した志賀高原ロングライドのように1000mを上って行くという所ほどの難易度は無いのですが、整備された国道ではないので、頂上付近になると徐々に勾配がきつくなり、9%セント近い勾配がダラダラ続く嫌らしい峠です。

まあここは何時ものように男らしくインナーローでノロノロ登って行くだけですが、問題は下りにありました。
どうも深い渓谷沿いの山道になっているせいか、日陰が多く、道の雪がまだ相当残っています。
圧雪や凍結貼りませんでしたが、溶けだしてシャーベット状に成っている雪が道幅いっぱいに広がっています。
なんとか溶けて川(滝)になっているところをジグザグに塗って下って行きますが、所々氷の塊があり、不意にハンドルを取られます。
これはヤバイと、クリートを外して両足「ケンケン」状態でバランスを取りながら2㎞程を下るありさまでした。
事実ここで4~5人程度転倒落車したライダーいて、知り合いのベテランのライダーさえも転倒してしまったくらいですから、難易度が高かった場所でした。
まあ諦めて降りて押すのが正解なんでしょうが、そこは腕に覚えがあるライダーほど何とか乗り切りたくなるのが、かえって危険度が高かったのかもしれませんね。

ここを下りきると第二CPの福島県棚橋町の国道118号線沿いのコンビニに到着です。
ここが106kmと中間地点で、ここで昼食を兼ねて長めの休憩を取るのですが、多くの参加者は既に疲労困憊の様子です。

知り合いのベテランライダーとも「これは何時もよりかなりキツイね」という話をしましたが、やはり気温が山間部で5℃程度しかないのがかなり堪えるる感じです。
個人的には前回来た時よりは多少は余裕がありましたが、やはり真冬のブルベはその防寒装備もあって、難易度が上がるのは間違いないようです。
しかし初出場のN村君は、疲れたとは言いながら時には先行する元気があるくらいでここまで来ていますから大したものです。

さてここから久慈川沿いに矢祭町までのコースは基本下り基調で、前回は押し戻されるほどの向かい風でペースが上がりませんでしたが、今回は追い風もあり今までの遅れを取り戻すべく快調に飛ばせます。
この辺りになると抜いたり抜かれたりはしますが、お互いのペースと休憩のタイミングの違いだけで、ほぼ同じ顔ぶれのライダーが、広義の意味の集団で数キロ範囲に散らばって走っている感じになります。

この時点で140km走っていますが、まだ60kmも有るんですね。
此処からはまた栃木県に戻るべく山岳路を上り基調で県境に向かいます。
20km程走って栃木県の那珂川町(旧馬頭町)の第三CPのコンビニに到着します。
まあこの辺りまでくれば諦めもつきますが(苦笑)、普段はなんてことのない残り40kmが果てしなく遠く感じるほど疲れ切っています。
まあセンチュリーライドならここで終わりですが、ブルベの場合ここからがお楽しみという所です。

お楽しみは良いのですが(苦笑)、まったく楽しくないのが、だいたいこの期に及んで、親切にもワザとアップダウンの続く「塩谷グリーンライン」という広域農道のコースを選んでくれることです。
ちなみに「なんたらライン」という広域農道が山間部にある場合、もとが「農政事業の補助金」で出来ている道なのか、通行しやすいように色々と規制や規則がある一般道とは違い、それこそ「山肌を舐めてそのまま道にしました」という感じで、容赦のないアップダウンが続いたりします。
ここも通常のツーリングで走るのならなんてことのない(いや、僕は嫌いですが(苦笑))ルートですが、既に160km走っていますから、脚に力が入りません。
ここに至ると多くのライダーは、脚のどこかは攣りが出るのが普通で、攣りながらも誤魔化して走るスキルも持っていますので、文句を言いながら完走を目指します。

ここで15;40くらいですから、過去の経験からこのコースなら、この状態でも2時間30分は繋らない程度と判断して進みますが、N村君も脚の付け根の痛みとスタミナ切れで「ブルベってこんなに大変だとは思いませんでした」となります(笑)。
20km手前で最後の休憩を取って、温かいオデンを食べて気合を入れて、いよいよ「ナイトライド」に突入です。
ナイトライドは良いのですが、何か顔に当たってきて、気が付くとそれは「みぞれ」でした。
それがだんだんひどくなってきて、雨になり、ついには所々で雪が激しく振り出しました。
やはり宇都宮AJのブルベは雨に祟られるというジンクスは健在だそうで(笑)、やけくそ半分このくらいのアクシデントが有った方がブルベらしいなぁと思ったりします。

最後の難関の真っ暗闇の中「鶴カントリークラブ」の激坂を何とか切り抜けて自分の時計で18:05でゴールすることが出来ました。
この時点で約28人ほどゴールしていたようです。
サイコンのデーターは途中で10km止まりましたが、205kmを11時間5分、AV22.8kmで、消費カロリーは8888kCalでした。
真っ暗な宇都宮サイクルセンターがゴール会場で、ゴールの手続きをします。


スタッフが振る舞ってくれた温かいカップラーメンが何よりのご馳走で、冷え切った体に滲みました。
寒い中黙々とサポートしていただいたスタッフの皆さんには何時ものことながら頭が下がります。

しかし走っている間は文句たらたらで「こんなの2度と出るもんか!」と叫びながら走っていますが、終わってみれば最高に面白く、また出て見たと思う所がブルベの魅力なんですね。
N村君も初参加で随分ひどい目に遭いましたが転倒もなく無事完走して、ブルベを堪能できたようでした。


が、今回は良かったですまなかったのがこれです。

まるでシクロクロスでも出たの?というくらい、泥だらけです。
件の峠の下りの所々に採石場があり、ダンプカーが行きかっているルートでしたので、モロに泥をかぶってしまいました。
勿論ウェアや装備品も泥だらけで、結局その後始末で今日は終わってしまいました。

さて今回も何とか無事に完走できましたが、とにかく自分のパフォーマンスが落ちていることもはっきりしてしまいましたので、何とかしていきたいです。
基本的には現時点のパフォーマンスとしては、トレーニング量とウェイトを見事に反映している感じで、データで見ると現実は冷酷な物ですね(笑)