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手持ちバイクの勝手なジオメトリィ比較と、ポジション出しの考察 [自転車本体]

最近色々と謝ってばかりの黄昏中年ではありますが(苦笑)、今回の「ジオメトリィ」ですが、正式な自転車の「CT」とか「CC」とかの計り方でないので、参考にしようとこられた方はゴメンナサイ(笑)。

とにかく「ターマック」のフッティングを進めるにあたって、「まあ、このくらいかなぁ」で進めると、あとで何が何だかわからなくなるので、自分のバイクを、自分なりにフッティングに使っている寸法を比較して、ターマックというバイクの性格を計ることにしました。

これまた謝らなければいけないのですが、ここで親切に「図解」で説明すれば解り易いと思うのですが、「メンドクサイから書かないよーだ!」と省略させていただきます事を謝罪いたします(笑)。
実は「セオリーは大切にしないとダメだよ」と周りに言っていながら、僕個人はフッティングの定義を「クランク軸中心主義」と「前後重量配分」の2点に集約させています。

で計測した結果一覧です。
ジオメトリー2.JPG

計測は本当なら最近比較的安価に手に入る「レーザー墨出し機」を使えば、1ミリ単位で正確な寸法が手に入るのですが、これは「コンベックス」2個と「目検討」で測った値なので絶対値は10mm単位で違うかもしれませんが「傾向」が比較できれば良しという精度であることはお断りしておきます。

幾つか解説します。
1、操縦性に関わるホイールベースと重量配分
これはフロントフォークの傾き「オフセット」にも関わりますが、ロードバイクは「1000mm」が標準的なのだと思います。
FELTが1100mmで一番長いのですが、これはフォークのオフセットが一番大きく、つまり一番角度が付いていて「ハンドルの直進性」を重視しているからで理解できるのですが、ターマックの980mmは驚きました。
自動車言えば運動性に限って判断すれば、ホイールベースは短い程「旋回性」が高くなる、つまりローリングに伴うヨーイングが出し易く成るはずで、「機敏に動きやすい」という事になります。
実際乗った感触として、機敏ではありますが不安を覚えるほどふらつくことも無く、直進安定性は高い部類に入る方だと思います。
直進性の良さ・・・・というより個人的には「ステアリングの座りが良い」感触は、クランク軸を中心とした前後のホイールベースの寸法から、たとえばマドンとはフロント側が580mmで同じながら、リア側がターマックが20mmも短い事から、単純に「重量配分」がリア側寄りであり、クランク軸から鉛直線上に上に伸ばしたラインから、どのくらいシートチューブが離れているか、パナチタンの「ホリゾンタル」のラインに合わせて図った数値は「4」は、ターマックが最も長く、最も後傾している事が解る事から、人間が乗車した状態でターマックが最も重心が後ろ寄りではないかと推測できます。
重心が後ろ寄りという事は、ローリングするときの重量上の「力点」の中心も最も後ろ寄りに成るはずで、前輪のトップチューブのハンドル軸線から一番遠ざかるため、ヨーイングの影響が少なくなる理屈になります。
これは、「手放し運転」するとき、後ろ乗りの方が自転車が安定するので、体感することができると思います。

2、推進効率に関わるクランク軸とシートの位置関係
自転車の推進効率は、フレームの剛性というファクターを別にすると、機械工学的に脚の動きというある意味直線的な動きを「クランク」というカラクリ物を介して以下にクランク軸を効果的に回すかという事に集約できるのではと思っています。
基本は股関節、膝、足首のジョイント部分とクランク軸の距離にあり、短ければジョイントの稼働角度が広くなり、同じ回転数なら大きく脚を曲げ伸ばししなければなりません。
これはレシプロエンジンで言う、一気筒の「ボア×ストローク」の関係性と同じで、ロングストロークエンジンと同じで、「トルクは出るけど高回転向きではない」特性になります。
反対にクランク軸からジョイント部が遠く成れば、稼働角度が狭くなり、脚の曲げ伸ばしの量は少なくて済みます。
これは「ショートストローク」エンジンと同じで「トルクは出しにくいけど高回転まで回し易い」になります。
この理屈が理解できれば、自転車の「シートの高さ」の重要性と傾向が理解していただけると思います。
今度は前後方向に関してですが、これは、ペダル軸、もしくは踏込の力点のポイントより、膝の関節部分を後ろ側方向にすると脚の構造上の問題で、後ろ側の筋肉、所謂「ハムストリング」を多用できるようになり、ハムストリングは「遅筋」で「瞬発力は出しにくいけど持続性がある」筋肉になりますから、たとえば長距離をある程度の速度を維持して走り続けるのに適している方向になります。
反対にペダルの力点から膝の関節部分を前側方向に移すと、脚の前側の筋肉、中でも前側のモモの「大腿4等筋」を多用することになります。
この筋肉は「速筋」であり、「瞬発力はあるが持続性に乏しい」筋肉なので、たとえばスパートを駆けるときや坂を上るときにペダルを「踏みしめる」ようにしてトルクをかける走り方に適しています。
これを調整するのは基本的にはクリートの前後位置とサドルの前後位置との相関関係であり、基本的にサドルを前に出すほど大腿筋を使い易くダッシュ力が使い易く成り、後退させるほどハムストリングが使い易く成るので長時間の持久力を維持しやすくなります。
ちなみにクリートの位置関係はつま先寄りにすると回し易く成るが疲れやすい、カカト寄りにすると回しにくくなるけど疲れにくいというのが「セオリー」ですが、これはサドルの前後位置との関係性を考えての話になり、サドルの前後位置を固定と考えると、クリートをつま先寄りにすると脚の位置が後退してサドルを前に出したのと同じ事に成り、反対にカカト寄りにすればサドルを後ろに下げたのと同じようになる事は、実際クリートを前後させて脚の屈曲の形を見比べれば解ります。
更にいうと、クリートをつま先寄りにするという事は、足首の稼働角が広くなり、より足首の動きが大きくなるので、ペダリングで回して踏み切った時の最後の「一ケリ」が効いてくるのも無関係ではないようです。

3、ハンドル高と、サドル高の落差との関係
一般的にハンドル位置を下げればそれだけ上半身が前傾して、正面から見た「全面投影面積」が減少しますから、空気抵抗を減らすことが出来ます。
いきなり余談ですが、背中を丸めて前傾するのは背中が直線的に成るより空気の「誘導抵抗」が減るそうで意味があるのですね。
さて、この「背中を丸める」ですが、ツールドフランスなどで一流選手がこのようなスタイルを取っていて、、無条件で真似をしたがる方もいますし、そのように推奨していた関係者もいました。
実は何故背中を丸めるのというと、単純に「伏せ」の姿勢で前のめりに成ると、体が「くの字」になり、股関節の稼働角の範囲を狭めてしまうからです。
ですから「骨盤」を立てるようにして股関節の可動範囲を確保して、尚且つ空気抵抗を減らすために頭を下げるためにお腹を引っ込めるようにして背中を丸めるスタイルが出来たのです。
実はこのスタイルは、運動生理学上理想的なスタイルではないそうで、まず丸まった上半身だと胸の筋肉「胸筋」が狭まって肺の動きを制約してしまうため、呼吸を制限して酸素の供給量を減らしてしまうそうです。
また上半身がある意味固まってしまうため、体幹のねじり方向の動きが制約されて、上半身の筋肉を脚の動きに連動させて回転運動に転嫁させにくくなるため、出力も出しにくくなると考えられます。
ただ30㎞/h以上、ロードの選手だと40㎞/h以上の速度が「戦闘速度」なるわけで、運動生理学上の不利より「空気抵抗」の低減が優先されるので、そのスタイルで最大の効率が出せるようにトレーニングしているわけのようです。

僕のように概ね30㎞/前後までの速度領域が中心で走っているライダーの場合、空気抵抗の低減よりも、運動生理学上効率の良いスタイルの方が重要になると考えれば、何も無理をしてハンドル位置を下げて、空気抵抗の軽減に奔走する必要が無いという事はご理解頂けるでしょうか。
そういった意味も有り、あまり前傾しすぎないジオメトリーの方がロングライドには適しているという理屈になり、コンフォートバイクを謳ったFELT Zシリーズや、TREKのいう「H2フィット」のジオメトリーは、トップチューブの長さを長くして、ハンドル位置を必要以上下げないようになっています。
ちなみにターマックは「6」のハンドル地上高が一番低く、、これでもスペーサーで25mm程上げているのですから、いかにロードレースにターゲットを絞ったジオメトリーであるかの一端が垣間見えると思います。

4、総論
実は「お辞儀乗り」というスタイルが有り、これが加わると上半身の反動とタイミングに伴う「重心位置移動」や、クランクのパワーゾーンの角度領域とかの話が加わるので、ややこしくなるので今回は省略しますが、ターマックのフィッティングで言えば、サドル位置を5mm前進させてトルク寄りのセッティングで山登り方向に振って、ハンドル位置は少し高くしたいところですが、これ以上無理なので、ダンシングの振りの良さを考えて、ハンドルの「ライズ角」を立てて、ブラケットの握り位置をやや高くしました。
実際のところ、此処までクドクドとしたり顔で解説してきた内容に、体の脚の長さや各部寸法のバランス、筋肉の付き方、筋自体の柔軟性や強靭性、関節の柔軟性と稼働角度、どのような走り方をしようとする「基本プラン」等が、すべて3次元的に相関関係を持っているので、その中から「最適なポジション」を得るのが、如何に至難の業であるのとともに、その効果がハイエンドバイクを購入する以上に効果的であることも、ご理解いただけたでしょうか。

あと重要な事ですが、此処まで独り善がりで自説を説いていながら、「フィーリングに頼った、運動生理学を考慮しないなポジションは、故障の原因に成る」という事です。
結局自転車のポジション出しは、「生モノ」である体の構造上の「運動生理学」と、機械モノの自転車の「機械工学」、あと根本的で基本の「ニュートン力学」を、どのようにバランスさせるかという事であり、そのバランスが歪な場合、その歪は生モノの人間にすべてかかって来るので、関節をおかしくしたり、筋肉や筋を痛める事に成るので、その点は十分に留意する必要があると思います。

で、「こんなに色々あると何が何だか判らないよ!」というのが自然な感想であり、まず最初に行う事は、自転車雑誌や自転車ショップの経験の深い店員さんの進める「定番のスタイル」にとりあえず無条件に従ってみる事だと思います。
それが「ベスト」ではないにせよ、過去の経緯より導き出された「セオリー」ですので、「大きく間違っていはいない」ハズですので、その時点ではあくまで「ベター」と納得すべきだと思います。
そのあとは求める方向に適した「方法論」と「理屈」をしっかり考えて、実際「トライ&エラー」を繰り返して、経過が判るように少しずつチャレンジしていく「モアベター」を重ねて行けば、少しずつ「ベスト」に近づいていくと思いますし、「これは間違った!」と判明した時点で、ひとつ前に戻ればよいだけなので、方向性を大きく間違えてしまう可能性は低くなると思います。
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わだち

まさにその通り!と思いました。参考になります。
by わだち (2016-07-27 17:06) 

soraneko

わだちさんへ

所詮「文系人間」の認識レベルですし、自分では解っていることも、文章で表現すると難しいです。
自分自身では、何度もコンパスと定規と分度器を使って、「お絵かき」する事で理屈を納得させました。
by soraneko (2016-07-27 18:14) 

大型中年

SORANEKOさんへ

ホイールベースが、FELT Zシリーズで長いことがわかり、アップライトなポジションも相まって、ファンライドな味付けで、私の歳ではこのタイプが問題ないことがわかりましたが、長年Fシリーズに乗っていると、今のポジションも捨てがたく・・・迷いますね。
また、私は超鈍感で、一回書きましたがZシリーズ・Fシリーズの差は乗った瞬間は分かるものの、恐らくロングライドを1回でもこなせば体が慣れてしまうでしょう。という事は、Impactが残りにくいFシリーズの方が実情に会いそうです。
結果的に、悩んでいるときが最も楽しい。手に入れたら走ることが唯一の仕事です。 
土曜日は暑くなりそうですね。おそらく梅雨明けでしょうか? 32℃の予報ですが、ヒルクラに行ってこようかと思っています。 
by 大型中年 (2016-07-27 21:17) 

soraneko

大型中年さんへ

Fシリーズで乗りなれると、Zシリーズは癖が強くて乗り辛いと感じるかもしれないですね。
結局自分のZ25は、その癖を修正していくのにずいぶん苦労しました。

今回は詳しく記載しませんでしたが、「フォークオフセット」で操縦性は全く変わってきて、たとえば国産の「アンカー」などは、サイズ毎のオフセットを細かくせっていしたりするのですが、たとえばサイズ設定が3種類くらいしかない所のフレームだと、無理な「帳尻合わせ」で変な癖が出てしまう物も少なくないようです。

Fシリーズは実は今でも購入対象のフレームで、サイズ違いですが試乗した時に素直な癖のない操縦性や、軽くて切れのある感触が好印象でした。
他のメーカと比べて「コスパ」が高いのも魅力で、皆さんに呆れられるかもしれませんが、また「魔がさす」と一台作っていたりするかもしれません(苦笑)。
by soraneko (2016-07-27 23:27) 

リリス岩田

ジオメトリーに於けるフォークオフセットの意味、理解が完全に間違っています。真逆です。
コレに関わる、トレール量、と言う言葉を良く勉強してください。
まあ、コレは自称プロも頻繁にしでかす大間違いで、私は同様の間違い記述のサイトを5つ程、閉鎖、訂正、させましたけど。
by リリス岩田 (2016-12-10 02:42) 

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